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街のサッカークラブが実践するSDGsとは?異年齢活動で「誰一人取り残さない社会」を目指す RayoNAGOYA(ラージョ名古屋)代表監督 沢田 聖志氏インタビュー

最近、毎日のように見聞きする「SDGs」。
「Sustainable Development Goals=持続可能な開発目標」という意味で、「誰一人取り残さない社会」の実現を目指し、2030年までに達成すべき17の目標が掲げられています。
2015年9月に国連で開かれたサミットの中で世界のリーダーによって決められた、国際社会共通の目標です。

愛知県名古屋市のサッカークラブ、RayoNAGOYA(ラージョ名古屋)では、SDGs達成のため、ユニークな活動が行われています。
「名古屋市SDGs推進プラットフォーム」に承認されたRayoNAGOYAではどんなことが実施されているのでしょうか?

難しいようで、実は身近なことから取り組める。
「SDGs×育成」が子どもにもたらす効果とは?
RayoNAGOYA代表・監督の沢田 聖志さんにお話を伺いました。

取材・文:CRANE
画像引用:RayoNAGOYA オフィシャルサイト

お話を聞いた人
Rayo NAGOYA代表・監督 沢田 聖志さん

【選手歴】
熱田高校~愛知学院大学~FCゴール~名古屋サッカークラブ~鈴鹿クラブ(現JFL鈴鹿ポイントゲッターズの前身)
全国クラブチームサッカー選手権 全国優勝
全国社会人サッカー大会東海大会 ベスト8

【資格】
JFA公認B級コーチ
JFA公認GK-C級コーチ
JFA公認フットサルC級コーチ
戦術的ピリオダイゼーションスペシャリスト(講師:レイモンド・フェルハイエン(オランダ代表・ロシア代表・韓国代表コーチ))
JFAスポーツマネージャーGrade2
JFA公認キッズリーダーインストラクター
JFA公認3級審判

【指導歴】
愛知県立知多翔洋高校
三重県立川越高等学校(インターハイベスト8(2回))
2013年 名古屋市トレセンU14アシスタント
2014年 鈴鹿市トレセンU14コーチングスタッフ
2015年~2018年 三重県トレセンU14コーチングスタッフ(三重県トレセン韓国遠征セカンドチーム監督)
RayoNAGOYAジュニアユース
RayoNAGOYA5・6年クラス
RayoNAGOYA普及クラス

育成選手には、矢澤大夢選手(2017年よりフットサル日本代表)、笠井大輝選手(2019年より名古屋オーシャンズ)、生駒瑠唯(2019年~2020年 Futsal イタリアセリエA2)がいる。

参照:RayoNAGOYA オフィシャルサイト

異年齢の活動を通して目指す「誰一人取り残さない社会」

ーーーRayoNAGOYAはSDGsを推進しているサッカークラブだと伺っています。具体的にはどのような活動をしているのでしょうか?

沢田 聖志代表・監督(以下、沢田)

私どもRayoNAGOYAは、子どもたち自らが考え、意見交換し、助け合って同じ目標に向かっていける経験の場を企画し、提供しています。

サッカークラブとして各カテゴリーのチームで活動するほか、月に1回~2回、名古屋市内の小、中学校のグラウンドで無料のサッカースクールを行っています。

無料スクールの対象は小学1年生から中学3年生までの男女です。
RayoNAGOYAに登録している選手はもちろん、他クラブの選手や普段サッカーをしていないお子さんでも参加することができます。

無料スクールの一番の特徴は異年齢で活動することです。
当日集まった子どもたちを年齢のバランスが均等になるようグループ分けし、中3から小1が同じチームで練習やゲームを行う形を取っています。

とても上手な子もいれば、初心者の子もいて、サッカーのレベルはバラバラ。
そんなところもこのスクールの面白さだと思いますね。
小学生たちは中学生の上手なお兄さんたちとサッカーができることで大きな刺激になりますし、年齢が上の子は、下の子を良く気にかけ、盛り上げてくれています。
続けて来てくれている子どもがリーダーシップを取ってくれるので、チームごとにやることが自然と決まり、終始良い雰囲気で進められています。

多い時には30人ほど参加者が集まりますが、運営は大体私一人かもう一人スタッフが付くくらいです。
私たち大人は多くのことは伝えず、子どもたちの主体性に任せて、スクールを見守っている感じですね。

初めての参加で緊張していたり、上手く馴染めていない子がいるなと感じた時は、私たち大人が、声をかけることもあります。
「全員が楽しめてる?」
こう、声掛けすることで、ハッと気が付く子が出てくるんですね。
「自分だけが楽しくなっていたのではないか?」
「付いてこられていない子がいるのではないか?」
こんな風に気が付いた子が、状況をよく見て、より気を配るようになるんです。

子どもたちの中に、気付く子が出てくると、それが周りにも広がって、全員でその場を楽しい雰囲気にしようという意識が生まれて一層まとまりが良くなります。

教えるのではなく、気付かせることが重要なのだなと感じる瞬間です。
子どもたち自らが気付いて行動に移せるような言葉をかけたい。
この心がけを大事にしながら「誰一人取り残さない社会」の実現に向けた環境を提供しています。

使わなくなったものが誰かに届く

2021年8月9日には、RayoNAGOYA主催のカップ戦「第1回PauleleCUP」を行いました。
「Paulele(パウレレ)」は「信頼」を意味する言葉で、SDGsの達成に向け、大きな3つの目標(※)を掲げたイベントです。

※第1回PauleleCUP 3つの目標

1.『これからの社会の担い手でもある子どもたちが、刻一刻と変化していく社会を生き抜く力を育むために、大好きなサッカーを通じて誰とでもコミュニケーションをとり、信頼関係を築く経験をする』

2.『試合を重ねていく中でコミュニケーションを深め、サッカーを楽しむという共通の目的に向かうことで、信頼関係を築いていく体験をする』
3.『チームメイトの「立場」や「考え」「行動」を尊重し、対話を重視するリーダーシップを身に付けるきっかけとする』

この大会は、チーム単位でのエントリーではなく、個人でエントリーしてもらう大会で、当日は40名の選手が参加してくれました。
チーム分けは、無料スクールと同じく様々な年齢になるようバランス良く構成しました。

本クラブのジュニアユースの選手が主体となり、会場設営、大会の進行や審判を行ったのですが、参加者の小学生たちが積極的に手伝ってくれたことも嬉しかったですね。
初めて顔を合わせる子が多くいるのに、ボールを蹴るだけですぐに仲良くなり、チーム一丸となって真剣にゴールを目指す姿を見ると、子どもというのは本当にすごいなと感じます。

『Paulele CUP』を通して「不要となったサッカー用具を集め、発展途上国に送る」プロジェクトについても実施しました。
これは、SDGsが掲げる17のゴールの中の「人や国の不平等をなくそう」「つくる責任、つかう責任」に沿った企画です。

大会の参加者に呼びかけて、もう使わなくなったスパイクやボールを持って来てもらいました。
(※集まった品 ユニフォーム×15、ジャージ×1、スパーク×4、トレーニングシューズ×6、キーパーグローブ×1、短パン×10、ピステ×1、ボール×2、すねあて×1)

集まった品々は、JICAの「世界の笑顔のために」プログラム※やNPO法人を通し、発展途上国の人々に送ることを計画しています。

普段、当たり前のように使っているものでも、世界中を見渡せば、それらを簡単に手に入れられない人たちもいる。

リユースを通して、遠く離れた国の、自分たちとは違う状況の人々のことを考えるきっかけになったら良いなと思います。

※JICA「世界の笑顔のために」プログラム
開発途上国で必要とされている、スポーツ、日本文化、教育、福祉などの関連物品の提供を募り、JICA海外協力隊や在外事務所を通じて、現地の人々へ届けるプログラム。

ユニフォームの買い替えシステムを導入

ーーーカップ戦の機会を通して、リユースの機会を作るというのは非常に良いアイディアですね!「つくる責任、つかう責任」については、普段の活動においても取り組まれているのでしょうか?

沢田

「つくる責任、つかう責任」への取り組みについてはもう一つ、当クラブでは、ユニフォームを買い替えなくてはならなくなった時、今までのユニフォームを買い取る仕組みを導入しています。

子どもたちの成長スピードは、人それぞれ違いますよね。
思った以上に身体が大きくなって、ユニフォームがサイズアウトしてしまう子も出てくるので、この買取りシステムはご好評をいただいています。

ユニフォーム代は、保護者の方にとっての費用負担が決して小さくないと思うんです。
買取ることで少しでも負担を減らせればと思い、買い取りシステムを導入しました。
もう結構な枚数を買い取っているので、ゆくゆくはユニフォームを買わないで済む。購入して頂く物品を減らすことができるかもしれません。

自分を支えてくれる保護者の方への感謝はもちろん、自分が使っていたものが誰かに届くということを通して、子どもたちにはそれを使う人々が置かれている現状にも関心が及ぶようになって欲しいと考えました。

世の中には、様々な人がいて、自分とはどのように違うのか。
その人たちのために、自分たちにはどんなことが出来るのか。
そう考えることで想像力が育ち、未来に向けての思考が広がって行くと思うんです。

誰一人取り残さない社会を目指すことは身近なことから取り組める。
サッカーチームから発信することで、個人ベースで出来ることを考えてもらえるきっかけになったら良いと考えています。

サッカークラブが主催するサッカーの無いキャンプ

ーーーSDGsへの取り組みは、子どもたちの育成に大きな効果がありそうですね。サッカー以外のことでも、取り組んでいることはありますか?

沢田

RayoNAGOYAでは毎年、夏になると、キャンプを実施するんです。

このキャンプの行程表にはサッカーという文字は一切無いんですよ。
サッカーボールを持ってきて、自由時間にみんなで遊ぶということはもちろんありますが、がっつり練習して、試合も行うという、所謂サッカー合宿ではありません。

キャンプの趣旨はサッカーの強化ではなく、参加した子どもたちに普段では出来ない、不自由な体験をしてもらうことです。

今年(2021年)の夏は総勢29名で駒ケ岳に行ってきました。
前日の天気予報は台風で…。
最初の目的地の駒ケ岳ではロープウェイを降りてびっくりしました。数メートル先までしか見えない霧と雨だったのです。
「ここから往復4時間かかる登山だけどどうしようか?」と子どもたちに尋ねると「行くの止めよう」とは誰一人言わず「急ごう!」とお互いに声を掛け合って走り出すんですよ。

標高3,000m級の山々を相手に、子どもたちは力を合わせて進んでいきます。
途中でもうこれ以上は続けられないという子どもが出たら上級生が一緒に下山して、小屋でカップラーメンを食べて身体を温めたり、色々と面倒を見てあげていましたね。
雨が降り、過酷な状況でしたが、元気のある数人が頂上までたどり着きました。
岩山を力強く登って行く子どもたちの背中は、本当にたくましく頼もしかったですね。
この先、決してできない貴重な体験ができました。

炊飯や料理する時に火を起こすのも、着火剤を使った手軽な方法は取りません。
子どもたちには各班が3日間、マッチ1箱で過ごしてもらいます。
自分たちで薪を作り、マッチ1本で木の皮に火をつけるところからのスタートです。
そして、その火をどんどん育てて行くんです。

大人はやり方を教えず、ただただ見守ります。
これがなかなか大変なのですが(笑)つい教えたくなるのをひたすら我慢しています。

子どもたちが助けを求めるのは、私たち大人ではなく、仲間である子どもたちなんです。
大人があれこれ口を出さないでいると、子どもたちの中から自然とリーダーが表れる。
役割分担から作業工程まで、なんでも自分たちで相談し、乗り越えようという空気ができあがります。

キャンプが終わって帰ってくると子どもたちは保護者の方に「もう自分で何でもできるよ!」「今度カレー作ってあげるよ!」と笑顔で報告するのだそうです。
頼もしくなって帰ってきたと保護者の方々も喜んでくださるので私たちも嬉しく思います。

サッカーを通して人生を豊かに

ーーー「サッカークラブはサッカーが上手くなるためにある」という考え方を持つ人も少なくないように思います。SDGsに取り組むことでサッカーそのものにも良い影響が出るものでしょうか。

沢田 

もちろん、サッカークラブにサッカーが上手くなることを求める人はたくさんいます。
RayoNAGOYAにもプロサッカー選手を目指して頑張っている選手はたくさんいて、私たちはその熱意に全力で応えています。

プロのサッカー選手を目指すことは、もちろん良いことです。
しかし、プロを目指すことだけをサッカーをする理由にして欲しくないという気持ちもあります。

幼稚園、小学生の時にサッカーを始めた子どもの中には、中学に上がるタイミングでサッカーを辞めてしまう子もよく見かけます。
辞めた理由を尋ねると「もう自分はプロになれないから」という答えが返ってくることがあるのですが、何とも言えない寂しい気持ちになるんです。

サッカーやスポーツは将来プロを目指す人だけのものなのでしょうか?
本来、スポーツというのは心身の健康維持のためにするものであったり、好きだからやる、楽しいからやるという風に、もっと自然に傍らにあるものだと思うのです。

サッカーが上手いか下手かということだけを突き詰めるのではなく、サッカー以外の体験もたくさんして、様々な感情を持つことで、心が豊かになる。
心が豊かになると、工夫が生まれたり、人を思いやる心が生まれて、そういうことが伝達能力に繋がって行くんですよね。
サッカーは知っての通り、一人でするスポーツではありません。仲間と一緒にゴールを目指すスポーツで、コミュニケーション能力は重要なスキルになります。
サッカーが上手い子というのは、サッカーだけをしているから上手いのかというと実はそうじゃない。
普段から色々なことに興味を持って、実際に行動にも移せる。
サッカーが上手い子の中には、そういう「バランスの良さ」が備わっている子も多くいます。

バランスの良さは育成年代での様々な体験を通して養われるのではないでしょうか。
あらゆる年代の子どもたちと関わることで、コミュニケーション能力が発達し、リーダーシップが養われる。
他者への関心を持つという意識が生まれることで、成長に繋がるのだと考えます。
「大人の言うことを聞いているだけ」ということとは、確実に違いが出ますね。

SDGsを推進することで、スポーツすることの意義を再確認できたように感じます。

私たちは、サッカーというスポーツを通して、スポーツを楽しみ、仲間を大切にすることで養われることがあるということを伝えられればと思っています。
少しでも多くの子どもたちに、他者との関りが自分の人生をより豊かにすることに気付いてもらえたら、こんなに嬉しいことはありませんね。

これからもRayoNAGOYAでは、SDGsの推進を通して、子どもたちの未来を創造するサポートをしていきたいと思います。

「名古屋市SDGs推進プラットフォーム」に認定

名古屋市を拠点に活動するサッカークラブ、RayoNAGOYAでは「地球上の誰一人として取り残さない(leave no one behind)」という、SDGsのスローガンのもと、子どもたちが自ら考えて行動する環境を提供しています。

SDGsを推進する企業、団体として、2021年8月に「名古屋市SDGs推進プラットフォーム」に承認されました。

◆名古屋市SDGs推進プラットフォームとは?
名古屋の市域全体におけるSDGsの取り組みの一層の向上を図るため、設置された機関。
SDGsの理念に基づいて持続可能な地域、社会づくりに取り組む企業、団体、大学等を会員としています。
プラットフォーム会員の取り組み等を発信、会員間の連携の強化やパートナーシップを構築することで、産官学民でSDGsの推進力を生み出し「世界に冠たるNAGOYA」の実現を目指しています。
(参照:名古屋市SDGs推進プラットフォーム

RayoNAGOYAクラブ概要はこちら

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最後に

「SDGsって何だろう?」
最近、本当によく見聞きするようになったこの言葉。
「少し難しく考えていたかも…」と感じた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

SDGsは「誰一人取り残さない社会の実現のための持続可能な開発目標」
それは実は私たちの身近にあるもの。
一人ひとりが自分の出来ることを考え、実行に移そうとすることが、大切なのだと感じました。

沢田監督、貴重なお話をありがとうございました。
RayoNAGOYAの益々のご発展、ご活躍をお祈りするとともに、SDGsへの取り組みも応援しています!

寄稿者プロフィール

JUNIOR SOCCER NEWSテクニカルマイスターWriterCrane
滋賀県在住ライターのCraneと申します。
2020年8月にライター歴3年目に突入、サッカー娘の母歴は丸10年になりました。

どんな試合でも、その一戦を迎えるまでにどれほどの努力があったのか。そしてそこに、どれほどの方の支えがあったのか。

頑張っている選手達、それを支える保護者、指導者の皆様が持つ数多のドラマに想像を張り巡らせてはリスペクトが泉のように湧き上がる日々。
涙腺も年々緩くなり、留まることを知りません。

このところ、8チームから12チームくらいの規模の大会も戻ってきているのではないでしょうか。
大会結果画像、弾けるような笑顔のお写真、選手達のご活躍の様子をぜひお寄せ下さい。いつでもお待ちしています!

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