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長崎総附サッカー部 小嶺 忠敏監督インタビュー「この子たちをどうにかして育てたい、その一心」

島原商業高校、国見高校、そして、現在は長崎総合科学大学附属高校でサッカーの指導に携わって51年。監督として全国大会出場(高校総体、国体、高校選手権、全日本ユース)は100回を超え、全国優勝17回を数える名将、長崎総合科学大学附属高等学校の小嶺忠敏監督にインタビューさせていただきました。
(写真:ジュニアサッカーNEWS編集部撮影)

 

時代を経て変わってきたもの、変わらないもの

—本日はどうぞよろしくお願いします。監督は高校サッカーの指導を始めて今年で51年になるとのこと。指導する子ども達も時代によって変わって来ているでしょうね。

小嶺監督
大きく変わってきていますよ。昔は物が無い時代でしたからね、それが今では物があふれて、恵まれすぎた中に育ってきた子ども達です。子ども達だけではありませんね、親世代もそういう時代に育ってきていますから。豊かな家庭に育っていますね。物の大切さを知らないなと感じますよ、弁当を捨てたりね。

そして、甘えの構造の中にいるというかね、厳しさがあるとギブアップしちゃう面がある。「なんでうちの子を試合に出してくれないんですか」という保護者からのクレームも時代と共に増えています。親もチームよりまず「我が子ありき」の考え方です。言ってみれば、「ハウス栽培育ち」の子ども達。こういう子ども達を率いて日本一になれるような指導をするには、指導者は障害をたくさん乗り越えないといけない時代です。

—なるほど、いち保護者として耳が痛いお話です。

小嶺監督
最近の子はね、平気でウソが言えちゃう子がいる。表面だけ取り繕っていい子でいるような。
「これやったか?」「はい、やりました。」と言っても実はやっていない、なんてことがよくある。それで通用すると思ってしまっている。ある意味可哀そうですよ。
だからね、私は「いや、周りに聞いてもやってないと言ってるぞ。」と。そこをいい加減にしない。
あなたのお子さんもそういう事あるかもしれないですよ!そういう目で見た方がいい。

でもね、子ども達は周りの大人をよーく見てますよ。しっかり観察している。自分たちには「時間を守れ」って言ってる大人が練習に遅刻してくるなんていうのは、本当によく見ていてね「あのコーチは何回遅刻した」とかね。
だから、子ども達にそういう事を課す以上は、絶対に大人もやり抜かないとダメなんだよね。

自分の話になりますが、私は32年間の教員生活で授業に1秒たりとも遅れていないですよ。いつもチャイムの鳴る2分前には教室の前にいる。そうするとね、生徒もキチンとせざるを得ないですよ。自分は適当にしておいて、人にやらせるのが一番悪い。そういうところを子どもが見透かしてその場しのぎを言うようになる。これが一番ダメな事だね。

子どもにも、身体張ってやってる指導者の事はわかるんですよ。口先だけなのか、本気で身体張ってやってるのか。私はね、今でも可能な日は週に2~3日寮(サッカー部の寮)に泊まり込んだり、全国自分で運転して遠征も行きます。本気で身体を張ってやってますよ。

小嶺監督の情熱の源は?

—これだけの長い間、監督がそこまでして高校生を指導している源って何なんでしょうか?

小嶺監督
日本一を目指す、日本代表を育てる、そう本気で考えて無我夢中でやってきましたからね。
最初は島原商業でね、こんな田舎でそんなことができるかと信じてもらえなかったけど。

昔は金は無くてもこの子を育ててみたい、子どもの指導のためなら何が何でもっていう指導者がたくさんいたけど、今は少なくなったねぇ・・・。
もちろん今でも、何人かはいますよ、しっかり身体を張って本気で指導している指導者が。そういう指導者は間違いなく全国で優勝しますよ、何回も。
若手指導者にも、「こいつはいつか全国を取るな」という本物の指導者がいます。でも口先だけの指導者は、一回くらいは優勝できたとしても、何回もは難しいねぇ。

私がこれだけ身体を張って本気で指導するのは、ここに子ども達がいるからですよ。

目の前にいる子どもをどうにかして育てたい。途中で放り出すことは出来ない。これは絶対に放り出せない、そうでしょ? 今でもあちこちからオファーはいただきますよ、でもね、ここに来た子ども達を放り出して、自分が他になんか行けないでしょう。絶対行けませんよ。
子ども達が私を繋ぎとめているんですよ。
夫婦だってそうでしょ? 目の前の子ども達をどうにかして育てたい、その気持ちだけですよ。

—長崎総附では、トップチームから1年生までを小嶺監督をはじめ複数のコーチで満遍なく指導しているとお聞きしました。この指導体制で注意されていることはありますか?

小嶺監督
いろいろな指導者が教えた方が偏りがないから、全部の学年を見てますよ。1年生の試合も見に行くしね。
たくさんの選手を見る分、一人ひとりの事を良く知るために、コーチ達からしっかり話を聞くようにしています。学校の担任の先生からも話を聞いたりね。

—え!学校の担任の先生からもですか?

小嶺監督
そうですよ、学校での態度とか、提出物をしっかり出しているか、などの普段の生活の事を聞きますね。
サッカーしている時の姿だけを見てたらダメですよ。普段の生活からしっかり、きちんとやっているかどうかも見ないとね。
サッカーしてる時だけ一生懸命やってる子は、試合の一番大事な時に頑張りきれない。大事なところで頑張れる奴は、普段の生活からピシっとやるべきことをやっている。

全国優勝したような代を振り返ると、普段の生活からしっかりした選手が多かった。普段の生活とサッカーは繋がっていますよ。
グラウンドでピシっとしている、挨拶や用具を整えるのは当たり前の大前提。それ以外の普段の生活の中でどれだけキチンとした事ができるかが大事です。

—毎日ご指導されている中で、特に気を付けておられる事はありますか?

小嶺監督
選手の事を良く知る、性格を分析することにはじっくり時間をかけていますね。その子がどういう人間なのか理解するには、時間が掛かる。何年も付き合って初めて「あ、こういう一面があるのか!」と分かる場合もあるよね。
「あいつ、意外にプライドが高いな!」「監督、よくわかりましたね、そうなんですよ!」なんて話を選手とすることもある。

その子の事が本当に分かって、そこから一人ひとりに合わせた指導ですね。その子の性格に合わせて、横着な子には多少厳しく接したり、自信がない子には励ましたりね。接し方や試合前の声掛けなんかも人それぞれだからね。

寮に泊まり込んでたら、自然と「あぁ、こういう子か」とわかることもあるし、ベンチの側で子ども達の他愛ない話を聞いていて、個性を知ることもあります。その子の本当の性格を分析するには時間が掛かりますよ。プレーの分析は比較的すぐにできるんだけどね。

—小嶺監督のような指導者を目指している若い監督やコーチが全国にはたくさんいると思います。皆さん、指導をする中で迷ったり、失敗したりすることもあると思うのですが、そんな時はどうしたらいいでしょうか?

小嶺監督
いやね、やればやるほど、失敗するんですよ。自分もそうですよ。でもね、失敗してもいいから、チャレンジしないとね。
失敗を重ねて、ああでもないこうでもないと試行錯誤しているうちに失敗が減っていく。こういう時はこうすればいいと分かる。その積み重ねですよ。千里の道も一歩からというでしょ。
私も今でも常にチャレンジですよ、生涯チャレンジし続けます。

「子ども達は絶対に放り出せない、どうにかして育てたい。その一心です」そう語る時の監督の声、眼光の鋭さには、情熱が迸っていました。小嶺監督を慕って全国から集まる選手、小嶺監督を尊敬する指導者の皆さんを惹きつけるのは、この「子ども達への情熱」なのではないかと感じました。

貴重なお話をありがとうございました!

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統括副編集長/戦略事業部江原 まり
長野県出身。
ライター歴8年。主に子育て、教育、引越しなど生活全般についてのコラムを執筆。
2016年からジュニアサッカーNEWSにて執筆開始。
2017年10月より副編集長、2019年4月より統括副編集長/戦略事業部。

自身もサッカー少年の母です。
保護者目線で「保護者が知りたい情報」を迅速にお届けするため、日々奮闘中。

いろいろな方の、貴重なお話を聞けるこのお仕事にわくわくさせてもらっている毎日です。

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