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球蹴男児U-16を語る!高校1年生が毎週真剣勝負できることの価値と未来

2022年度ルーキーリーグ(高校1年生)たちのシーズンが開幕します。

球蹴男児U-16はゴールデンウィークに行われる集中開催を皮切りに、高校生になってまだ1ヶ月あまりという初々しい選手たちが、新しいチームで真剣勝負を繰り広げます。

現在では全国9つの地域で繰り広げられるルーキーたちの戦い
各エリアのリーグにはそれぞれのエリアの特色や、運営する先生方の熱い思いがあります。

今回は九州エリアで展開されている「球蹴男児U-16」Division1 の村山 聡運営委員長 (長崎県/長崎総合科学大学附属)、 Division2 の杠 美津司 運営委員長(佐賀県/佐賀東)、そして球蹴男児U-16プロデューサーの伊藤 誠 氏(sports concierge office Blue Wave)のお三方にお集まりいただき、座談会形式でお話を伺いました。(以下敬称略)

(取材/文 江原まり)

「九州は一つ」への想い

ーーー本日はお忙しい中お集まりいただきありがとうございます。いよいよ開幕が近づいて来ましたね。開幕を心待ちにしている選手たち、保護者の皆様がたくさんいらっしゃいます。
今年一年を通じて戦う球蹴男児U-16について理解を深めて開幕に臨んでもらえるといいですね。

まず、全国には9つのエリアのルーキーリーグがありますが、球蹴男児U-16ならでは、の特長はどんなところでしょうか。

杠(ゆずりは)
まずは、「九州は一つ」という一体感があるところでしょうか。

村山
はいそうですね!これ抜きには語れないですね。


どういうことかと言うと、九州には海を隔てて沖縄県があります。
沖縄県のチームを含めてこそ「九州」だという気持ちですね。

ーーー確かに他のエリアとの違いとして「那覇西・宜野湾・西原・那覇」の4校が例年「沖縄参加チーム」として参加していて、4校が変わるがわる試合に参加する、という形式を取ってこられていますね。(編集部注:2022年度に限り、コロナの影響を鑑み沖縄県チームはスポット参加という形式になっています)


はい、沖縄は海を隔てて遠方にあるので、全試合に特定のチームが出場することは物理的に無理があります。
だからといって、参加してもらうことを諦めて欲しくない。

そこで、沖縄県チームが来る時は試合日程は土日に設定しますし、フライトする回数を少なくする形になるように、また試合会場もできるだけ空港近くでできるような配慮をしながら試合を組んでいます。

村山
いつも沖縄のチームのことを思って、リーグを作り上げている感覚ですよね。


沖縄県チームとずっと一緒にやっている中で感じるのは、沖縄の先生方の熱量なんです。

伊藤
本当にそうですね。「沖縄のサッカーをなんとかしたい!いい選手がいても県外に出てしまう現状をなんとかしたい、県内でも強化できるようにしないと!」という熱量を感じるので、こちらもできる限り応えていきたいなという気持ちに自然となっていきますよね。


はい、うまく調整して日程を組んで、強化に繋げられるように工夫して。

村山
みんなで頑張っていこうというフレンドリーシップですね。全チームが協力しながらやっていこうという。これがプライベートリーグの良さですね。
参加チームみんなが良いといえば新しい試みも可能になる。
どうにかしてやっていこうというチームが揃っているのもありがたいことです。


協力的なチームが揃っていてこその球蹴男児ですね。
コロナ禍で試合が中断し、もう一度一からスケジュールを組み直そうという時にも、すぐにグランドを探して再調整してくれるチームが多い。
選手のために、というところでみんなが率先して動いてくれるのが素晴らしいと思います。

こうした調整は各チームにお願いする形になるのですが、公共の施設が土日取れないという時に自前のグラウンドを持っているチームがホーム試合でなくても、提供してくれたりしてありがたいです。

真剣勝負、そして90分間のゲームを1年生からをなんとかしてやらせてあげたい、という気持ち、「選手のためになんとかしたい」という気持ちを各指導者が強く持っているなと感じます。
これは他の地域に負けないと胸を張って言えますね。

伊藤
そういう意味では、集中開催の多さも球蹴男児U-16の特長ですよね。
全チームが一堂に集まることによって得られるものの大きさをしっかり認識している。
他のチームを見て学ぶことや、指導者の交流で得られるものの価値を分かっている。
集中開催が4回も行えるということは他の地区にはないですよ!

村山
参加チームの指導者にアンケートを取ると「集中開催はぜひやってほしい」ということが出ますもんね。


はい、自分達の試合の前後に他のチームの試合を見れることで大きな刺激を得られますからね。

「集中開催」の意義とは?

村山
集中開催を行うために、熊本の先生方が一致団結して開催に向けて動いてくださる。
本当にリーグに対する想いが強い。
全チームの審判を手配してくださることの大変さを思うと頭が下がります。


全チームが集まるための、宿泊の手配など伊藤さんのご尽力があってこそという部分も大きいです。

村山
伊藤さんのご尽力なくしてはこのリーグは成立しないですよね。
ですから、どうやって伊藤さんの負担が減らせるかをいつも考えています。
現場サイドの意見も汲み取りながら。

伊藤
選手にいい環境を与えたい、ワクワクするような良い刺激を与えたいというのは意識していますね。
高校生活のスタートの時期は特に。
ゴールデンウィークに4日間会場を貸切で借りられるということがまずありがたいこと。
コロナ禍でいろんな声が届きますが、開会式は密にならないことを徹底しながらも、こだわりを持ってやっていきたい。

ただ集まって試合をパッとやるだけなのと、みんなが集まって開会式を行うのでは選手たちのワクワク感が全く違いますからね。

杠 
みんなで球蹴男児のTシャツを着てね。

伊藤
これから3年間競い合っていくライバルが一堂に会するわけですからね。


開会式で集まると自チームの基準がどうなのかがはっきりするんですよ。
身だしなみ、整列、集合の速さ。

他のチームの動きや、選手たちのさまざまな立ち居振る舞いなどを見せて、指導者の立場から選手たちに「これが強豪の基準だよ」と言えるんです。

試合だけではなく、その点でも貴重な機会です。

村山
同学年しかいないので、選手たちにはこれはとてつもない刺激になります。
チームとしての一体感も生まれやすいです。

そのための面白い仕掛けを伊藤さんがいつも作ってくれていますね。

伊藤
1年生の初々しいスタートですから。
他のチームの試合にしても、(集中開催では)常時4試合をやっていますが、一気にこんなにたくさんの同学年チームの試合が見られる機会は滅多にないのかなと思います。

後々、2年生3年生になってプリンスリーグで当たった時などに、「1年生の時に球蹴男児で負けたから今回は負けられない」というような発言が選手から出たりもするようです。

いろいろな側面があるリーグ戦ですよね。


いろいろな側面といえば、メディアからの注目度もすごく高いです。
おかげで選手たちには「下手な試合はできないぞ」という気持ちが芽生える。

村山
活躍したら選手インタビューされたりもありますしね。


そうなんです。
試合の後の選手インタビュー一つとっても、軽い発言はできないです。
個人の発言ではなくてチームの一員としての自覚を持った発言ができないといけない。

これはただの練習試合では絶対にできない経験です。
「うまく話せませんでした」ということも当然あります。
すると、次はどうすればいいだろう?ということになる。

高校1年生の段階でこういう機会を経て、自分の発言にも責任を持たないといけないということが分かってくるのはすごく貴重な経験です。

村山
KOICHI PHOTOさんが写真を撮ってくれていることも大きいです。

伊藤 
それは本当にそうですね、いろいろな地域の人から羨ましいと言われます。


KOICHI PHOTOさんがかっこよく撮ってくれることが選手はすごく嬉しいし、モチベーションアップにもなっています。
KOICHI PHOTOさんは選手が3年生になった時にも「頑張ってるね」と声をかけてくれたりして、本当にありがたく思っています。

伊藤
KOICHI PHOTOさんも球蹴男児U-16のここまでの発展に欠かせない一人ですね。

杠 
はい、貢献度がすごいです。

村山 
KOICHI PHOTOさんに代表されるように、球蹴男児は周りの方の熱量もすごい。だから僕らも中途半端な気持ちではできないと思っています。

伊藤 
みんなの熱い思いを実現するためには、忍耐や辛抱することなども多いと思います。
試合にしても待ち時間が全チーム同じわけではないです。
でも、「それでもやろう」という気持ちを皆さんが持ってくださっている。

「リーグを成し遂げるためには」という参加チーム皆さんの強い気持ちに支えられています。

さらなる飛躍へ

ーーー今後に向けてはいかがですか?

村山
チーム数が増えたので、競争が活発化されるリーグになると思います。
球蹴男児での切磋琢磨がきっかけになって、たくさんのJリーガーや世界に羽ばたく選手が数多く出てくれるといいですね。

開会式に球蹴男児を経てJリーガーや日本代表になった選手がビデオレターなどを送ってくれたりしたらいいですね。


球蹴男児の認知度が高まり、ありがたいことに伊藤さんの元には球蹴男児に入りたいというチームからの問い合わせがたくさんあると伺っています。
活躍する選手が増え、リーグが活性化すると共に、さらなる質の向上が必要です。

チームの入れ替えなども活性化のための仕掛けとして大きな意味があります。

その一つとして、球蹴男児U-16には「挑男(チャレダン)」という球蹴男児U-16へのチャレンジリーグがありますが、ここに参戦しているチームをはじめとして九州内にはまだまだ力のあるチームがたくさんある。

純粋にリーグの活性化、選手やチームのレベルアップを考えると刺激のある日常を作ってあげることが一番です。
指導者に危機感があると選手の危機感も違います。

結果を出したら上にいく、出せなければ下に落ちるという緊張感が1試合1試合の緊張感、日々の練習の緊張感に繋がっていく。
実際今年は挑男から球蹴男児U-16への昇格があります。

こうした緊張感のある環境を提供することがリーグの活性化やレベルアップに繋がっていると思いますし、やがてはプロの選手や日本代表の選手輩出につながっていくのではないでしょうか。

運営の視点から言うと、柔軟な姿勢でいろいろな意見を聞きながら活性化できればいいと思っています。
これからも九州の力のあるチーム、情熱のある指導者を巻き込んでいけたら。

村山
中学生の進路選択にも球蹴男児に参加しているかどうかが影響するようになってきていますね。


中学生の頃から球蹴男児が認知されてきていますからね。
入学したら球蹴男児で活躍するぞ、という気持ちを持って入学してくる子も多いです。
ライブ配信などを通して試合も配信してもらっているので。

ーーーやはり一年生にとって、球蹴男児がすぐに開幕するというのは入学してきてからの成長に影響がありますか?


入学してからすぐに「球蹴男児開幕まで時間がないぞ、こういうことをやらないと」と選手たちに言いやすいですね、スタートラインが決まっていますから。

村山
毎週のように真剣勝負のリーグ戦があるサイクルが1年生の初めからできる。それも90分ゲームでできることのメリットは計り知れないです。


球蹴男児U-16を通して新しいことに常にチャレンジして、さらに挑男というチャレンジリーグも立ち上げて形にしてくださるところが伊藤さんの凄さです。
常に刺激を与えてくれる。

伊藤
そう言ってもらうとやりがいがあります。
他の県のチームとも1年生から毎週のように戦えるメリットを活かしてもらえたら嬉しいです。

さまざまに企画する中で理想と現実のギャップはありましたが、まずはやらないと始まらないですから。
今年からは高校2年生のための「BlueWave U-17リーグ~Boost~」というリーグも試験的に開始しますが、まずは企画する自分自身が楽しんでいます。

新しいことを作ることの楽しさ、そしてみんなに喜んでもらえることの嬉しさがありますよ。先生方に負担も掛ける部分がありますが、選手や保護者やおじいちゃんおばあちゃんが喜んでくれるので、やってよかったと思えます。

何においても選手が一番ですが、選手は毎年変わります。
その点、指導者は何年ものおつきあいになります。

若い指導者には少なからず得難い機会ではないかなと思いますね。
これほどに真剣度が高いリーグでチームのマネージメントや運営に携わることができるのですから。

ただ大会に参加するだけではない学びがあると思います。

こうした側面は、私自身が球蹴男児U-16を続けながらキャリアを重ねてきて感じているので、これからも意識しながら先生方に伝えていきたいと思います。

村山
サッカーの指導だけではなく、チームマネジメント能力も鍛えられるんですよね、指導者自身も。

伊藤
プライベートリーグとして、参加チームが自分達で運営をやっているだけに苦労するところもあります。
しかし、そこにはチームも選手も指導者も成長がある。
だからこそ球蹴男児に興味を持ってくださるチームも多い。

ぜひこうした背景をわかった上で覚悟を持って入ってきてほしいですね。そのための一歩が「挑男(チャレダン)」でもあります。門戸は常に開いているつもりです。

ーーー本日はお忙しい中、ありがとうございました!

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寄稿者プロフィール

統括編集長/オウンドメディア事業部江原 まり
長野県出身。
ライター歴11年。
子育て系メディアにて、主に教育、引越し、子育て全般についてのコラムを100本超執筆。
2016年からジュニアサッカーNEWSにて執筆開始。
2017年10月より副編集長、2019年4月より統括副編集長/戦略事業部。
2022年1月より統括編集長/オウンドメディア事業部。

自身もサッカー少年の母です。
保護者目線で「保護者が知りたい情報」を迅速にお届けするため、日々奮闘中。

いろいろな方の貴重なお話を直接聞けるこのお仕事にわくわくさせてもらっている毎日です。

できるようになりたいこと、勉強したいことが山のようにあります。
一つずつチャレンジしていきたいと思います。

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