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「正しく努力を積み重ねると必ず成果は上がる」全国大会へ繋がった心の育成とは?【日本航空高校女子サッカー部 堀 祥太朗 監督インタビュー】

写真参照:日本航空高校 HP

昨年11月に行われた第30回関東高校女子サッカー選手権大会に引き続き、先月、神奈川県で行われた第11回関東高校女子サッカー大会も優勝し、連覇を果たした日本航空高校女子サッカー部
7月26日(火)~30日(土)に徳島県で開催される全国高校総合体育大会女子サッカー競技大会への切符を掴みました。

監督に就任した年に日本航空高校女子サッカー部を全国大会に導き、これまでに何度も全国大会出場を果たしてきた堀監督に、長年ブレることのない熱い思いを胸に子どもたちを指導し、今回も全国大会へ導いた「心の育成」についてお話を伺いました。

(写真提供:堀 祥太朗 監督・日本航空高校女子サッカー部 Instagram 電話取材・文/choco)

↓本文は写真の下から始まります↓

堀 祥太朗 監督インタビュー

監督プロフィール

堀 祥太朗 監督
大阪出身。
母校でもある日本航空高校には10年前に赴任し、男子サッカー部のヘッドコーチを務める。
同校女子サッカー部 監督に就任した年にはチームを優勝に導き、今年就任6年目となる。

たくさんの想いと共に全国大会へ


― 選手権に引き続き総体も、関東大会2連覇おめでとうございます!選手たちの反応はいかがでしたか?

堀監督
ありがとうございます!
選手たちも素直に喜びを爆発させて、いい笑顔を見せてくれました。
大会2連覇というのは難しいことだと思っていましたし、選手たちにはいろんな重圧があったことも事実です。
子どもたち自身が、それを跳ねのけて頑張ってくれたので、成し遂げることができたと思っています。

優勝した時には、今までのことが走馬灯のように浮かんできて「本当によく頑張ってくれたなぁ」と嬉しかったですし、この大会を通して子どもたちが一回り成長したと感じました。
いろんな経験をすることで、特にこの世代の子たちは成長のスピードが増しますね。

今は、関東大会の余韻に浸ることなく次の目標に向かって気持ちを切り替えました。
部員全員でチーム一丸となって新たなスタートを切り、最終的には全国制覇という大きな目標を掲げて日々の練習を頑張っているところです。
昨年度は初戦で敗れてしまい1年間悔しい想いを胸に練習を頑張ってきたので、今年度の全国大会へ向けて、選手たちとは「まずは初戦を勝ち切って一つ一つ階段を上がっていこう」と話しています。

― チームを優勝に導いたものは何だと思われますか?

堀監督
選手たちの心の成長だと思います。
今回の大会期間中、ぼく自身も感銘を受けたエピソードが2つあるんです。

1つ目のエピソードは、ずっと日本航空高校女子サッカー部の応援をしてくださっているという方から、1本の電話をいただいたことです。
大病を患っている方で、次の週から辛い治療が続くとのことでした。
コロナ禍で会場には入れず、試合を観ることができないスタジアムの外から子どもたちの声を聴いて応援してくださったそうで
「日本航空高校女子サッカー部のみなさんから元気と勇気をもらいました。また辛い治療を頑張ることができます!」
とおっしゃってくださいました。

選手たちにも、このことを伝え「みんなが頑張ることで、いろんな方が元気になってくれるといいよね。」と話すと、みんな目を潤ませながら聞いていました。
自分たちのサッカーが周りの方に元気を与えているなんて思ってもみなかったでしょうし、改めて、サッカーを頑張ることで周りに感動を与えることができるんだと実感できた出来事だったのではないでしょうか。

「いろんな方の想いを全国大会に持っていくことができます。一つ大きなことを成し遂げることができたんだなと感じています。」という選手たちの言葉からも、心の成長を感じました。

この子たち本当にすごいなって心から思った瞬間でしたね。
自分たちのためだけにサッカーをしているのではなく、応援してくださる方、試合を観てくださる方に感動や元気を与えられる選手に育ったんだと素直に嬉しく思いました。

もう1つは、関東大会にメンバーが行っていた時のエピソードです。
普段、部員は朝6時から、それぞれ自主練をしているのはもちろんのことなのですが、自分たちで自主的に校内の草取りやゴミ拾いなど、掃除をしているんです。これ、ぼくらは何も言ってないんですよ。自分たちで考え自発的に始まったことなんです。

今回、仲間が関東大会に行って戦っている間、学校に残って応援してくれていた控えメンバーは、毎朝欠かすことなく校内の清掃をやっていたそうで、大会から帰ってきてそれを聞いた時には鳥肌が立ちました。
山梨で残った部員たちも一緒に戦ってくれていたんだなとチームの結束力や団結力を強く感じました。

残っていたメンバーが、見えないところで、そういう部分をきちんと一生懸命やっていたから、今回優勝できたんだとみんなで話しました。
子どもたちが一丸となって自主的に行動できる姿や、誰もがなかなかできないことを日々コツコツと積み重ねていける志の高さから、これまで長年ブレずに指導を続けてきたこと「心の育成」が、きちんと選手に伝わっていると感じ、本当に嬉しい出来事でした。

悔しい経験がバネになる

― 心を育てる教育の中で特に重視していることは何ですか?

堀監督
常々、子どもたちには「誰かに言われてではなく、自主的に自分の苦手やことや不得意なことに向かい合って努力することが大切だ」と伝えています。

『努力は裏切らない』という言葉がありますが、ぼく自身、本当にその通りだと思っているんです。

好きなことだけやるとか、やりたいことだけやるとかではなく、苦手なことにしっかり向かい合って積み重ねるということが本当の努力だと思います。そこをしっかりやれるかどうかが一番大事なことですね。

日本航空高校女子サッカー部に入部してきた選手たちは、試合に出ることができなかったとか、チームで優勝に手が届かなかったとか、U-15年代で悔しい思いをした選手が多いんです。
悔しさをバネに頑張っている部員たちに、これまでも伝え続けてきたことは「正しく努力を積み重ねると必ず成果は上がる」という言葉です。
サッカーの技術が向上することも大切かもしれませんが、それ以上に大切だと感じていることは3年間で自分の夢や目標に向け、どれだけ地道な努力をしていくかということです。

夢や目標は叶うものではなく、自ら掴むものだということも選手たちには伝えています。夢や目標を諦めずに頑張れば、必ず掴み取ることができる。「掴む」という言葉の裏側には、努力を積み重ね自らの力で手に入れるという行動が連想できると思います。
夢を掴み取るために、早朝から自主的にボールを蹴ったり、滑走路を走ったり自分たちなりに努力をし、校内の清掃を自発的にやってきた日本航空高校女子サッカー部の部員たちの行動が、今回も全国大会への道を自ら切り開いたと思うのです。

プレーに映し出されるチームの背景

― 今後、選手に期待することは何ですか?

堀監督
我が子を預けてくださった保護者のみなさんも、サッカーの勝ち負け以上に、一生懸命にやっている姿だったり、高校3年間で人としてどう成長できるかという部分を大事に感じてらっしゃると思うんですよね。
「保護者の方のおかげで、遠いところまで来てサッカーができているんだよ。」と伝えるとともに「自分一人でサッカーができているんじゃない、いろんな方に支えられてサッカーができていることに感謝することが大切だ」とも、よく子どもたちによく話しています。

人づくりの中にサッカーがあるという位置づけで指導をしているので、子どもたちには、サッカーに限らず、日々のいろんなことを努力して人間性を磨いて欲しいですね。
高校3年間で、よりよい人間に育ってほしいという願いを込めて育成しているので、試合の結果だったり、サッカーがうまくなることを一番に持ってきてしまうと、これは高校スポーツとして違うんじゃないかなと感じているんです。

高校女子サッカーに限らず高校スポーツ全種目に言えることですが、その魅力や面白さは、子どもたちが勝利に対して貪欲に日々の練習に取り組み、一生懸命ひたむきに努力をしている姿が試合から垣間見えるところではないでしょうか。

プレーをしている姿を見ると、その背景まで見えてきます。
どういう練習をしてきたのか、チームがどういう状態なのか、その大会に向けてどんな風に頑張ってきたのかなど、それは自分のチームに限らず、相手のチームの背景までもが見えてくるんです。

今大会、ぼくたちのチームもメンバーしか連れていくことができなくて、残りの選手は学校に残ってライブ配信を観ながら一生懸命応援してくれていました。
そういう仲間への思いだったり、チームの関係性など、そういうところが表現され映し出され、それが結果につながることが高校スポーツのいいところでもあるし、魅力的な部分だと感じています。
それは男子だから女子だから、サッカーだからということではなく、高校スポーツ全般に共通して言えることだと思います。

勝ち負けだけではない、チーム一丸となって一生懸命大会に向けて努力していく姿、必死に取り組む姿に観ているほうも元気をもらう。これは本当に素晴らしいことだと思います。
高校時代に、こういう経験をすると、いろんな意味での成長に繋がって将来必ず役立ちます。
選手たちには、これから先ももっともっと努力し、たくさんの経験を積んで成長し続ける人であって欲しいですね。

日本航空高校女子サッカー部データ


チームスローガン
何事も本気で取り組み、最後まであきらめない

2022年度
第11回関東高校女子サッカー大会(インターハイ関東予選) 優勝

2021年度
第30回関東高校女子サッカー選手権大会 優勝
第30回全日本高校女子サッカー選手権 全国大会 出場
第10回関東高校女子サッカー大会(インターハイ関東予選) 第3位
全国高校総体女子サッカー競技大会(女子インターハイ) 出場

最後に

2年前の出会いをきっかけに、今回は2度目のインタビューとなりました。
前回に引き続き、穏やかで丁寧な口調はお変わりなく、お話ししている間、気さくで朗らかに答えてくださる堀監督の人柄にますますひき込まれる時間でした。

長年ブレることなく育成に軸を置き、今もなお選手一人一人の人間性を育てたいと拘って指導されている熱い想いが、堀監督の発する言葉一つ一つから強く伝わってきます。今後の選手のみなさんの成長がますます楽しみです。

7月26日から徳島県で行われるインターハイを目前にし、お忙しいにも関わらず、インタビューにお答えいただきありがとうございました。
全国大会でも、日本航空高校女子サッカー部の選手たちがチーム一丸となってプレーする姿、ご活躍を心から応援しております。

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寄稿者プロフィール

JUNIORSOCCER NEWSWriterchoco
ライターを始めて5年経ちました。
わたし自身もサッカー少年3兄弟の母です。
2024年度、長男は社会人・次男は大学生2年生・三男は高校3年生になります。
3人ともサッカー現役。週末、息子たちの試合の追っかけをしては、チームの成長を感じ幸せな気持ちになる日々を送っています。

サッカーを頑張る選手たち、それを支える保護者や指導者の方々。
サッカーに関わるすべての方に寄り添えるような記事が書けるよう、これからも精進していきたいと思います。

担当は東京4種です。
みなさまからの大会情報を心よりお待ちしております!

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