
[10.11 国スポ少年男子の部2回戦 大阪府 1-1(PK4-5)山形県 八戸市南郷陸上競技場]
「ライオンです、オレら」という山形県が優勝候補の一角、大阪府に噛みついて、食い下がって、PK戦勝利。同県史上初のベスト8進出を果たした。
山形県の最高成績が2回戦なのに対し、対戦相手の大阪府は優勝歴こそ無いものの、準優勝8回、3位6回の強豪。この日の前半はPKで先制点を許し、シュート数も0-8と劣勢だった。だが、山形県はスペースを埋め、GK鎌田泰地(山形ユース/1年)の好セーブなど粘り強い戦いで1点差のまま食らいつく。
塩川岳人監督(山形ユース)は、「いつもそうなんですけど、彼らはほんとにスイッチ入るのが遅いんで、前半(を失点)1か0で行ければ、後半は絶対行けるっていう自信がありました。それで、後半は選手に『オマエら、まだ体力あるか』ってまず確認した時に、『全然、行けます』って言ったので、『じゃあ。もうどんどん前線から奪いに行こう』と」。勝負の後半、山形県はハイラインを敷いて前からボールとゴールを奪いに行った。
相手FWに再三DF背後を狙われたが、CB齋藤桜来主将(山形ユース/1年)は「正直、大阪のFWの子は自分もちょっと上手いなって感じる部分もあったんですけど、そこはGKと連係を取って背後のケアとかができていたと思います」と振り返る。
186cm、75kgの恵まれた体格を持つ齋藤は、自主練で先輩たちと1対1を反復。まだ、長所と言い切れないというものの、強化してきた部分とヘディングの強さなどを発揮し、奮闘していた。
山形県は選手同士で「誇りを持って戦え!」の声。齋藤は「自分もその誇りを持って戦わないといけないと感じていました。キャプテンとしても今日は少し頼りないところも見せてしまったところもあったかもしれないですけど、やっぱり(怪我で)出れない選手がいるって考えて、そこはやらないと、って思いました」。国スポに出たくても出られない選手がいる。遠方から青森県まで応援に来てくれている人たちもいる。その人たちのためにも「山形一丸」で戦った。
そして、後半22分、再投入直前に塩川監督から「右サイドと左サイドどっちがいい?」と聞かれたFW土田健太(山形ユース/2年)が「左サイドでやりたいです」と応えて、左サイドへ。すると、直後のプレーで土田が左SB酒井統慎(山形ユース/1年)のパスから左サイドを突破し、クロスを上げる。これをMF石垣仁(山形ユース/1年)がゴール左へねじ込み、1-1とした。
その後、逆転までは至らなかったものの、前からの攻守で大阪府に対抗。そして、後半35分には、好セーブを見せていたGK鎌田に代えてGK平林蓮(羽黒高/1年)を投入した。塩川監督は塩野亮祐GKコーチの意見を信じて交代。その平林がPK戦で1人目と3人目を止めた。
指揮官も「(平林はPK戦要員という立場から)ちゃんと覚悟して出てくれて。その準備が彼はできていたっていうことが1つのポイントでした」。平林の活躍もあり、7人目までもつれ込んだPK戦を5-4で勝利。歴史を塗り替えた。

山形県がPK戦を制し、準々決勝進出 塩川監督が選手たちに伝えてきたのは、挑戦するということだ。「挑戦しないことには成長がないし、失敗もない。失敗がなきゃ成功がないっていうことをずっと彼らには言ってきました」。自分たちに失うものはない。指導者からの情報を素直に聞く耳を持って判断できるという選手たち。彼らは、支えてくれた家族やスタッフ、関係者への感謝の心と挑戦心を持ち続けてきた。そして、4-0で勝利した北海道戦に続き、“格上”大阪府にも挑戦し続けて勝利。齋藤は「オレら山形の中で『ライオン』っていうのがあるんですけど、ライオンのように噛み付いて、噛み付いて。(東北予選から)プレッシャーとか掛けるスピードとか全開で行っていたんで、そういうところでは負けたくないです。『ライオン』です、オレら」。次は9回目の優勝を狙う千葉県に噛みつく意気込みだ。
齋藤は「正直、疲労とか蓄積してきて厳しいゲームになるとは思うんですけど、やっぱり粘り強さとか、球際の強さとか、諦めないとか、そういう気持ちの部分で絶対負けちゃいけないと思います。内容とか今、重視されていると思うんですけど、自分はもう結果にこだわって、今日もPK勝ちしたし、正直、もう勝ち以外、自分は求めてないんで、勝ちだけに集中していきたいと思います」と誓った。主将は2試合を終えて、自分たち1人1人の個の強さが心の部分から変わってきていることを実感。初優勝を狙う山形県は準々決勝でも失敗を怖れずに挑戦し、再び全国を驚かせる。
(取材・文 吉田太郎)
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