「サッカーが上手ければ、それでいい」――そんな風に思っていませんか?
東京・武蔵野の地で長年愛される「服部整骨院関前分院」の院長であり、名門クラブ「横河武蔵野FC」のU15・U18で25年以上にわたりトレーナーを務める服部誠先生。のちにプロ選手になる選手の中学年代をサポート、また全国の舞台で戦う子どもたちを間近で見守り続けてきた服部先生は、「技術やフィジカルは当たり前、それ以上にピッチ外でのあり方が選手の成長を大きく左右する」と語ります。
今回は、怪我のケアやトレーニングの枠を超え、子どもたちの心に寄り添い、人間性を育むアプローチについて、熱く、温かく語っていただきました。
お話を伺った方
服部整骨院開前分院
服部 誠院長
サッカーだけできても、いつか壁にぶつかる
中学年代から始める「ピッチ外の習慣」
ーーー服部先生は長年にわたり育成現場の第一線でこれまで多くの選手たちの成長を見守っていらっしゃいました。服部先生が最も大切にされていることは何ですか?
服部誠先生(以下、服部先生)
中学生になり、いわゆる「3種(U15)」の年代に入ると、体も心も、そしてサッカーを取り巻く環境も大きく変化します。
私が長く関わっている横河武蔵野FCは、単にサッカーの技術を教えるだけでなく、一人の人間としての成長を非常に大切にしているクラブです。
「サッカーだけやっていればいい」わけではありません。学校生活をきちんと送る、礼儀を身につける、大人や親としっかりコミュニケーションが取れる……。そうした「当たり前のこと」を習慣づけるのは、実はとても根気がいることです。しかしながら、それらはピッチでの結果に大きく繋がってくると、私の経験として感じます。
ピッチ外での自己管理や人間性がしっかりできている選手は、最終的に選手としても大きく大成する気がします。逆にいくら技術があっても人間性が伴っていない選手は、高いレベルに行けば行くほど、どこかで必ず壁にぶつかってしまいます。
だからこそ、中学生活がスタートしたその瞬間から、私たちは口酸っぱく、ピッチ外の行動のの大切さを伝え続けています。

「監督には言えないけれど、服部先生には言える」――何でも話せる存在でありたい
ーーーそんな3種年代の育成に関わるにあたり、どんなことを大切にしていらっしゃいますか?
服部先生
怪我を抱えた選手をサポートする上で、私が最も大切にしているのは「何でも話せる関係づくり」です。
強いチームになればなるほど、選手たちは「痛いと言ったら試合に出してもらえないかもしれない」と、怪我を隠そうとします。
ところが、いくら私たちが「早く言ってね」と発信したところで、信頼関係がなければ子どもたちは絶対に本当のことを言ってくれません。「この大人に伝えても大丈夫か」「ちゃんと自分の味方になってくれるか」を、子どもたちは鋭く観察しているのです。
ーーー具体的には、どのようにして選手たちとの距離を縮めているのですか?
服部先生
私はグラウンドや治療室で、あえて”カッチリした指導者”のような態度は取りません。サッカー以外の他愛もない雑談をたくさん重ねて、彼らの警戒心を解く。そうして距離を縮めておくことで、選手たちは「実はちょっと膝が……」と本音をこぼしてくれるようになります。グランドレベルでは、フィジカルのトレーニングを担当します。そこでは、技術を教えるコーチたちよりも、時には厳しく、選手たちと接します。そうすることで自然と信頼関係が築けていくのです。
特に、横河武蔵野FCアカデミーのコーチ陣は怪我への理解が非常に深いです。選手、指導者、保護者、トレーナーである私の全員が、一方通行ではなく、みんなで話し合って「今はこの怪我をしっかり治す時期」「ここまではプレーして大丈夫」といった最適な選択肢を出せる環境を作っています。

親は一番の「サポーター」に
自立を促す、親離れ・子離れのいい距離感
ーーー最後に、サッカーを頑張る子どもたちと、それを支える保護者の皆様へメッセージをお願いします。
服部先生
時代とともに、サッカーに関わる親御さんの熱量やパワーはどんどん強くなっていると感じます。もちろん、それは素晴らしいサポートの力になります。
ただ、時に「やるのは選手本人である」という主役の視点が抜け落ちてしまうことがあります。整骨院には自身がトレーナーを務めるチームだけでなく、様々なチームの選手や親御さんが来院されますが、子どもの気持ちや意見をすべて親御さんが代弁してしまうケースに出会うことがあります。
早く成長していくのは、やはり「親離れ・子離れ」がきちんとできている親子です。自分で考え、自分の言葉で指導者やトレーナーと会話ができる子どもは、ピッチ内での判断力も優れていきます。逆に過保護に手や口を出しすぎてしまうと、時に子どもの成長の「足かせ」になってしまうこともあります。
一番近くで見守る、信じて任せる、最高のサポーターであってほしい。それが、保護者の方々へ私からお伝えしたい一番の願いです。
今しか経験できないその瞬間を、最高のパフォーマンスで駆け抜けてほしい
育成年代でのスポーツは、本当にその瞬間、その時にしか経験できないかけがえのないものです。
私は、彼らがその限られた貴重な時間を全力で駆け抜け、最高のパフォーマンスを発揮できるよう、身体と心の両面からサポートしたい。その想いで、この仕事を続けています。
自分自身の体と向き合い、今どんな状態で、何をすべきなのかを自分で把握できる選手になってほしい。中学、あるいは高校を卒業して、別のチームやカテゴリーへ進んだとしても、自分で自分の体をコントロールできる力をここで身につけてほしいのです。
「服部整骨院関前分院」という場所、トレーナーとして、施術者として関わる私という存在を、うまく、賢く利用してほしい。子どもたちがピッチの内外で大きく羽ばたくその日まで、私はこれからも、彼らに寄り添い、背中を押し続けます。











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