[9.13 メニコンカップ EAST 3-1 WEST 三重交通G スポーツの杜 鈴鹿サッカー・ラグビー場 メイングラウンド]
一桁の背番号をつけるのも初めてだという「エイト」が、8番のユニフォームで躍動した。2得点でALL EAST(東軍)を逆転勝ちに導いたMF吉澤映杜(川崎F U-15生田)がMVPを受賞した。
メニコンカップでMVPを受賞した吉澤映杜

狙い通りのMVP獲得だった。前半37分には中盤でボールを失い、先制点につながるミスもあった。それでも1-1で迎えた後半25分、右CKを頭で合わせて逆転ゴールを奪うと、同31分にはFKの流れからMF遠田万里(札幌U-15)のシュートがポストに当たった跳ね返りを押し込み、勝利を決定づけた。
後半アディショナルタイムにはハットトリックの絶好機もあったが、決め切ることはできなかった。ただこれもご愛嬌。長髪をなびかせながらピッチを駆け回った背番号8は、「自分が一番上手いと見せたかったので、ちょっとは見せられたかな」。普段は10番を愛用するが、初めて背負った背番号8もよく似合っていた。
1か月前の大号泣を笑顔に変えた。メニコンカップはクラブユース選手権(U-15)の優秀選手を所属クラブで東西に分けて戦うオールスター戦だが、クラセンで吉澤の所属する川崎F U-15生田は、横浜FM Jrユースとの熱戦に敗れて準優勝。吉澤は閉会式の間、嗚咽を漏らし続けた。

流した涙には深いわけがあった。吉澤は小学6年生の時に母・直美さん(享年47)を病気で亡くした。闘病を続ける中でも、映杜がサッカーをする姿をいつも応援してくれていた。「お母さんと約束したのが、日本一だった」。その約束を果たすことこそ、吉澤の原動力になっていた。
母を亡くしてからは、父、兄との男3人暮らし。近くに住む祖母が食事を届けてくれることもあるが、整骨院を営む父親は、身体のケアや故障時のアドバイスなど、競技生活を支え続けてきた。今回のメニコンカップでも「MVPを目指して頑張れ」と送り出してくれた父の言葉に奮起。最高の形で期待に応えてみせた。
32回の歴史を誇るメニコンカップ。歴代MVPには第1回大会の市川大祐(清水JY)、第2回大会の阿部勇樹(市原JY)、第7回大会の家長昭博(G大阪JY)、近年でも2023年大会で吉田湊海(FC多摩JY、現鹿島)ら、日本サッカー界を彩ってきた選手たちが名を連ねる。吉澤が目指すのも、そんな先輩たちに続く存在だ。印象的な長髪について、来週にも切りに行くと明かした中学3年生は、「もっと上手くなってプロになれるように頑張りたい」と力強く前を向いた。

(取材・文 児玉幸洋)



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