[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[7.26 インハイ2回戦 鹿島学園高 2-1 新潟明訓高 JヴィレッジP5]
“切り札”が試合の流れを変えた。1点を追う鹿島学園高(茨城)は飲水タイム後の後半21分に2枚替え。MF稗田葵允(3年=FC習志野出身)とDF豊島優空(3年)を同時投入した。その稗田が投入後の2プレー目で同点ゴール。加えて、左サイドでの高速ドリブルによってチームを活性化し、逆転勝利に結びつけた。

対戦した新潟明訓高(新潟)が今大会初戦だったのに対し、鹿島学園は2試合目。チームは疲労面を考慮し、5バックでロングボール中心のリスクを負わない戦い方で試合をスタートした。前半終了間際に失点してしまったが、後半も勝負どころまで我慢の戦いを継続。そして、鈴木雅人監督が「飲水のところから仕掛けて行こうと思っていた」というように、後半の飲水タイム後に勝負をかけた。
鈴木監督は「交代メンバーが昨日も良かったんで、今日も使うぞって交代メンバーにも言っていました」と明かす。稗田は前日に続く出番が来ることを想定して準備。投入される前は「0-1だったし、もう『やってやろう』と思ってたんで、ずっとそわそわしてた」という。だが、ファーストプレーで縦突破してクロスを上げ切ると、直後の右ロングスローから同点ゴールを決めた。
24分、鹿島学園は右サイドからFWワーズィージェイヴェン勝(3年)がロングスロー。DF 宮田毅(3年)とDF群馬快太(3年)が競りに行くと、稗田がこのこぼれ球に反応し、右足ボレーでゴールを破った。
殊勲の稗田は「ずっと外から見ていて、今日はワージィー選手のロングスローがいつもよりも飛んでいたんで、それで点取ってやろうかなと。群馬選手と宮田選手がヘディング頑張ってくれそうだったんで、こぼれたところに詰めようかなってイメージで入っていました」と説明。そして、フカすことなく「とりあえずボールにミートさせるってイメージ」でボレー弾を決め切った。
稗田は、「まだ同点っていう気持ちはあったんですけれど、みんなちょっと負けそうな雰囲気があったので一旦いっぱい喜んで、みんなの指揮も上げようかなと思って」跳躍から渾身のガッツポーズ。今季の公式戦ゴールは4月のプリンスリーグ関東2部で決めた1点のみというMFが、値千金の1点をチームにもたらした。
稗田はゴールだけでなく、段違いのスピードを活かしたドリブルでもチームを盛り上げる。鹿島学園で1、2番というスピードの持ち主。先発で左サイドを務めるMF大川寛翔(3年)が相手を疲れさせていたこともあり、稗田のスピードは効力を増した。
左サイドで新潟明訓を押し込み、逆転勝ちに貢献。稗田は「途中出場がもうずっとメインで、流れ変えてっていうメッセージずっともらってたんで、やっと今日出せて良かったです」と微笑み、鈴木監督も交代組の活躍を称賛していた。
目標の選手は韓国代表FWソン・フンミン。トッテナム(イングランド)をきっかけにプレミアリーグを見るようになったという稗田にとって、抜群のスピード、両足でのシュートで同クラブのエースと活躍していたソン・フンミンは一番のアイドルになったという。自分も武器を発揮し、チームの勝利に貢献できる選手になることが目標。戦術理解やボールロストの部分が課題で先発出場をすることができていないが、“切り札”としてまだまだ結果を残す意気込みだ。
3回戦の対戦相手は静岡学園高(静岡)。稗田は「持ち味出しながら勝利に繋げられたらいいと思います。途中から入って、ゴールとか、アシストとか点に絡めるようにしていきたいと思っています」。チームの勝利のため、自身の進路を切り拓くためにも、鹿島学園の“切り札”がまだまだ活躍を続ける。



(取材・文 吉田太郎)
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