[7.26 インハイ2回戦 鹿島学園高 2-1 新潟明訓高 JヴィレッジP5]
敗れはしたものの、「全国デビュー戦」で強烈なインパクトを残した。新潟明訓高DF牛腸敢太(3年=県央FC出身)は登録189cm、81kgの大型ストッパー。選手権全国2位・鹿島学園高(茨城)との初戦で圧倒的な高さを披露した。
前半、鹿島学園のロングボールやFK、ロングスローが増える中、「ファーストプレーで1個上手く弾けて、そこで気持ち的にいい形で試合に入れた」「(空中戦が増えることは)割と想定内であった」という牛腸は相手選手の遥か上方からヘッド。3本、4本、5本と全て競り勝って強豪校の前に大きく立ちはだかっていた。
鹿島学園の強力2トップ、FW内海心太郎(3年/U-17日本高校選抜候補)とFWワーズィージェイヴェン勝(3年)はいずれも昨年度の選手権で活躍した選手。牛腸はそこに起点を作らせず、得点も与えないまま1-0で前半を終えた。

「初めての全国だったんで、どれくらい通用するのか本当に分からない状態だったんですけど、今まで色々なFWと今年対峙してきた中で、今日の相手も強かったですけど、全然、自分も全国でも戦えるなって」感じたという。
だが、後半、鹿島学園は意図的に牛腸との競り合いを避けた配球。新潟明訓はそこでワーズィーに頭でそらされるなど、押し込まれる時間帯が増えてしまう。後半の飲水タイム後、新潟明訓はロングスローのこぼれ球を狙われて失点。さらにオープンな展開となる中、牛腸は味方のサポートに奔走していたが、焦りの出たチームを落ち着かせることができない。
そして、33分に内海に決勝点を許して逆転負け。牛腸はギアを上げてきた相手に対し、1つパスを繋いでテンポを変えたり、相手の守備をズラしたりすることができたはずだと考えている。鹿島学園が自信を持つ力強い攻撃を徹底してきたのに対し、自分たちはどこか気持ちが後ろ向きになってしまった。
「ほんとに個人が、チームとしてもそうですけど、1人1人がプレーで絶対自信あるみたいなものをみんなが作ってかないと、全国のこういうパワフルな相手だったり、上手い相手とかにも太刀打ちすることはできない」。牛腸自身も成長することを誓った。
「自分で言うのもあれですけど、いい形でデビューはできたかなと思ったんですけど、やっぱ物足りないというか、もっと勝ち進んで色々なFWとやっていく中で、多分この大会も通してもっと成長できたなと思うので。オフシーズンでほんとに最後の最後で、やっぱり自分がいれば守れるっていう自信とか安心感を周りの人に持ってもらえるように、もっとスピードの部分だったり、身体の使い方だったり、一番はやっぱコーチングで、雰囲気とか、そういう精神的な声掛けもそうですけど、戦い方だったり、その場その場の守備のちょっとした立ち位置だったり、そういうところをやることがもっと必要だなって思います」
昨年まではボランチを務めていたこともあって、足下には自信を持っている。また、水準のスピードを備えているが、それを武器にしている相手に対してのアプローチの仕方や相手のランニングコースに身体を入れること、予測の部分もより磨く考え。また、前線から落ちて後ろ向きでボールに係わる選手を絶対に潰し切るような前へ強さも自身に求めた。
さらなる飛躍に注目の逸材。だが、1年時や去年の夏頃までは、ほとんど試合に絡めない選手だったという。また、本職のボランチからセンターバックへのコンバートを打診された際には、まだまだスピードが不足していたこともあって「上はもう目指せないのかな」という不安も。それでも、冬の期間に下半身強化したほか、フィジカルトレーナーからステップの踏み方やスプリントトレーニングを学んだことによって切り返しにもついていけるようになった。
チーム内外から「ポテンシャルがある」「期待している」という言葉を1年時から受けてきた。その評価は、選手の背中を後押しするだけのものではない。牛腸も「そこに応えられない自分に結構フラストレーションが溜まっていました」と明かす。それでも期待や自身のの不安に押し潰されなかった。
元々は線も細く、体重も軽かったという。アジリティを欠き、「デカいのに競り合いもヘディングも勝てない」という言葉も耳にした。だが、筋トレや食事を意識して身体作り。全国大会で目立つほどのプレーヤーになった。牛腸はハイレベルな文武両道が話題になっているが、真摯に自分と向き合い、高め続けられる力が現在の姿を作り出している。
「(坂本和也)監督もみんな期待してくれていたんで、そこは自分が成長してプレーで恩返しはしたいなってのずっと思っていたんで、まだ全然やることだらけですけど、チームの支柱っていうか、ほんとに大黒柱になりたいです」。「完成」するのもまだまだこれからだ。
「この夏も(フェスティバルで)プレミア(リーグ)のチームとか、(柏)レイソルとかとやれるので、そういう1個1個の試合で相手のセンターバックだったりとか参考になると思いますし、色んなFWと対峙していく中で、そのどんなタイプにも自分の中で絶対にこういう対応すれば止めれるっていうプレーを試行錯誤しながら見つけていくっていうことと、副キャプテンでもあるんで、冬、新潟県予選も絶対甘くないと思うので、チームをどれだけ引き締められるかっていうのが、これから勝ってくために一番、絶対必要だと思います。どんな1個の練習でもほんとに自分発信で、ほんとに集中して、1回1回が最後だと思ってやるっていう集中力も絶対、試合の際の部分で出てくると思います。そこで自分がやっぱり引っ張っていく存在にならないといけない」。天井はまだまだ先。「全国デビュー戦」の経験も糧に努力を続け、自分と新潟明訓をもっと輝かせる。



(取材・文 吉田太郎)
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