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「見える化」が強くする強豪サッカー部。秀岳館高校 段原一詞監督インタビュー

▲左から、中川理事長校長先生、ケンタ選手、ターレス選手、織田アスリート熊本ゼネラルマネージャー

2020年12月23日(水)、熊本県八代市にある秀岳館高校サッカー部から2名のJリーガーが誕生しました。

秀岳館高校サッカー部を率いる段原一詞監督が生んだJリーガーは、これで11人目になりました。※

10人のJリーガーを生んだ監督から、秀岳館高校サッカー部の育成について伺いました。
全国的にも特徴的なサッカー部の「見える化」。

そこには、大きな理由がありました。

※明徳義塾高校時代にJリーガー2名、秀岳館時代にJリーガー9名、秀岳館時代に育成した選手でKリーガーが1名の内訳です。

お話を聞かせてくれた人

段原監督

段原 一詞 監督
秀岳館高校サッカー部監督・校長補佐・英語科教諭
指導歴
1997年~ 高知県明徳義塾高校サッカー部監督
2001年~ 熊本県秀岳館高校サッカー部監督
明徳義塾 全国選手権1度(初出場)、インターハイ1度(初出場)四国大会3度
秀岳館 全国選手権1度(初出場)、九州大会2度
Jリーガー11名、Kリーガー1名を輩出。

個人の成長をうながす、サッカー部の「見える化」

ーーー秀岳館高校のサッカー部は、「見える化」を大事にしていると伺いました。
何のために「見える化」をしているのでしょうか?

段原一詞監督(以下、段原監督)
僕たちはツールを使って、子どもたちの成長を日々「見える化」しています。
「見える化」を取り入れているのは、
遠い目標を子どもたちと一緒に追いかけるためです。

僕は昭和の人間なのですが、平成、令和と来て、今の子たちは遠い目標を追いかけるのは苦手だな、と感じます。

豊かな時代の子どもたちですし、見えない遠い目標を理不尽の中で目指す時代は終わっていると思います。

ですから、遠い目標に中継地点を小刻みに入れてあげたらいい。
そのために使っているツールが、Field WizさんのGPSと、ハドル(映像分析ソフト)です。

GPSでは、目標を自分で設定することができます。
今日の練習の成果、昨日より今日どのくらい成長できたかを数値で見ることができますので。

ハドルを使っているのは、主体的な生徒の集中を促すためです。

ただ試合のVTRを見せるだけでは、生徒は飽きます。長いですしね。
ですから、ハドルですべてのプレーにタグ付けをしてもらい、子どもたちに「昨日の試合で何が一番気になった?」と聞きます。

「失点が気になった」と言われたら、失点に関するプレーだけを全て見せることができる。
そうすると、なぜ失点につながったのか、なぜその前のプレーがうまくいかなかったのか、子どもたちが集中して考え始めます。
子どもたち自身でストーリーを描けるわけです。

200人も部員のいるサッカー部です。
指導者と相性が合う・合わない、そんなことはもちろんあると思います。
怒られたら感情的には「嫌いだ」と思うでしょう。

人対人のつながりだけだと、そんなときに不協和音が起きます。

ですが、その間にひとつ数字や画像を挟むことによって、感情は整理されますよね。
この繰り返しで、感情を論理的に操作する能力が身につきます。
「お前のプレーは悪かった」だけ怒られても納得がいかない。面白くない。

でも、画像を間に挟めば納得できる。

人間的な相性も超えて、感情も超えて、同じ目標やヴィジョンを目指す。
小さな中継地点をたくさん入れて、自分の成長を可視化して大きな目標を目指す。
成長のロードマップを自分で作ることを手助けし、本当の意味での自立に近づけていく。

僕が見える化したいのは生徒個人の「自分の成長」なんです。

一生懸命の先にしか、感動はない。

僕たちの目標は「日本一」です。

でもそれよりも重要な目的がある。
目標と目的は別に設定しています。

僕たちはサッカー部の指導、学校での教育を通して、生徒たちの未来に触れるわけです。
未来に触れるということは重い責任が伴います。
そして、生徒たちはどんなに大人びていてもまだ高校生です。

これから大人になる子どもたちに、人間力の向上、良い人柄を作って世の中に出ていけるようにしてあげたい。

サッカーは人生の教材です。

友人関係がぶつかることもあれば、考え方がぶつかることもあります。文化の違いがぶつかることもあります。

それを教えてくれるのは「一生懸命」です。
僕は常々、一生懸命の先にしか感動はない、と思っています。

僕たちの一生懸命の最終的なゴールが「日本一」です。
だから日本一を目指す。
ただ単にサッカーが強くなりたいのではなく、育成のその先に子どもたちを駆り立ててくれるものとして、日本一がある。
それだけのことです。

人間性の向上の先に、豊かな人生の成功があります。

ーー秀岳館はたくさんの留学生を受け入れています。
2021年シーズンからロアッソに加入するケンタ選手とトーレス選手も、出身はブラジルでしたね。

段原監督
秀岳館は理事長校長先生が戦争を知っている世代なんです。
平和な世の中は、国境を越えた相互理解によってしか作れません。
平和って、多様性の理解の上に成り立ちますよね。
留学生を受け入れることで、日常的に多様性を環境設定するんです。

学校に入ってしまえば、国籍は関係ないですよ。みんなそれぞれの文化を相互理解するようになり、考え方は多様化していきますね。
本当の意味でのグローバルな人材育成をしていると思います。

歴史を変えられるのは教育だけじゃないですか。

僕は、知識が物事を解決すると思っています。
それを肌で感じさせてくれるのが秀岳館の校風です。
留学生がたくさんいる中で3年間過ごし、多様な人間性に触れることで生徒の人間力は間違いなく向上すると思います。

人生の成功は人間力の向上の先にあると思います。

今回ロアッソ熊本に内定したケンタ選手もトーレス選手も、最初はとてもJリーガーを目指せるようなレベルではありませんでした。

記者会見では掃除の話が出ましたが、みんな一緒に生活を送っていく中で、彼らの人間力はどんどん上がっていきました。

人間力が上がっていけば、成功はついてくる。
2年生に上がった時はまだまだどうかな、という感じでしたが、2年生の後半から3年生に懸けて、もしかしたらプロ入りできるかもしれない、というところまで成長できました。

全国のサッカー少年たちへ

ーーー全国の中学生に向けて、どんな生徒を秀岳館高校サッカー部は受け入れたいと思っていますか?

段原監督
夢をかなえたい、つかみたいと考えているサッカー少年を大歓迎します。
僕たちは子どもたちの未来に触ります。
ですから、自分の未来に進もうとしている子とでないと、共同作業はできません。

サッカー部は男女で230人~240人いる大所帯ですから、いろいろな子がいます。
もし、今の自分に自信がなくても自分を変えたいと思っている子も歓迎します。

諦めない心を育てて、ともに未来へ向かいましょう。

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最後に

ツールを練習に取り入れている学校は多々あります。
ですが、それを「感情や相性を越えて、ひとつの大きな目標に向かっていけるように」と明確な定義づけのうえで使っている高校は珍しいのではないでしょうか。

多国籍の中から多様性を身につけて育成されていく生徒さんたちの今後が楽しみです。

寄稿者プロフィール

JUNIOR SOCCER NEWS統括編集長/事業戦略部水下 真紀
Maki Mizushita
1974年生まれ。群馬県出身、東京都在住。フリーライターとして地方紙、店舗カタログ、webサイト作成、イベント取材などに携わる。2015年3月からジュニアサッカーNEWSライター、2017年4月から編集長、2019年4月から統括編集長/事業戦略部。ジュニアサッカー応援歴14年。

第98回高校サッカー選手権予選を最後に息子が引退。
高3の11月から受験生になりました。
高校2年生の保護者の方がもしここを見ていたら、
「たったの2か月でセンター爆上げは無理だから今からがんばれ」と
お子さまに教えてあげていただきたいです…

まだ小学生、中学生のお子さんをお持ちの皆様がうらやましいです。
今しかない瞬間、親も楽しんじゃってください!

サッカーにかかわるすべての人を応援しています。

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