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【取材】日本代表塩谷司選手が徳島にスクール開校!なぜUAEにいながらスクール生と一体感を持てる?オンライン交流やサッカーノート交換日記の取り組みも

2019年徳島県に新しいサッカースクールが誕生しました。
サンフレッチェ広島や日本代表で活躍し、現在はUAEのアルアインFCに所属する塩谷司選手が立ち上げたサッカースクールです。
日本との時差約5時間のUAEにいながら、きめ細かく、そして面白い取組みをされていると聞き、塩谷選手とスクール代表薩摩氏にオンラインにてお話を伺いました!

(取材・文/江原まり)

↓本文は写真の下に続きます↓

塩谷 司 選手

1988年12月5日生まれ
徳島県出身
南小松島FC
大松SC
大塚SC
徳島県立徳島商業高校サッカー部
国士舘大学
水戸ホーリーホック
サンフレッチェ広島
2017年シーズンからアル・アイン(UAE)所属

2014年から日本代表として活躍。
リオデジャネイロオリンピックにオーバーエイジ枠で出場。
FIFAクラブワールドカップ2018で4試合フル出場、チームの準優勝に貢献。

現在、UAEで現役プロサッカー選手として生活をしながら、徳島で開校した「塩谷司サッカースクール」のスクールプロデュースに取り組んでいる。
UAEにいる時にも常にスクールの子ども達に目を配れるよう練習動画をチェックしたり、サッカーノートに目を通しコメントを返すなどきめ細かい関わりを欠かさない。

薩摩将輝 スクール責任者

藍住町出身-藍住北FC-大塚FCジュニアユース-藍住東中-徳島商業高校
徳島商業高校:第82回83回84回全国高校サッカー選手権大会出場
第84回大会ベスト16
徳島県高校サッカー優秀選手
■資格
公認指導者B級ライセンス
キッズリーダー
AFENスペインサッカー協会認定指導者ライセンスモニトール
リスペクトF.C.JAPANクラブ員
KOBA式体幹B(バランス)認定トレーナー
リズムトレーニングデュフューザー

塩谷選手と同じ徳島商業高校サッカー部の一つ上の学年に所属。
塩谷選手がサンフレッチェ広島所属時代は、前職の仕事を休んでも試合に駆けつけるほどの「塩谷司ファン」(本人談)であり、同じ部活で汗を流した仲間、そして良き理解者。
塩谷司サッカースクールの構想段階で「スクールの責任者を任せられるのはこの人しかいない」(塩谷談)とオファーされ、快諾。
現在は「学べるものはなんでも学ぶ」姿勢で、スクール経営とスクールコーチとしての指導に取り組んでいる。

「失敗したらどうしよう、怒られる」を無くしたい

—塩谷選手、薩摩さん、本日はお忙しい中お時間いただきありがとうございます。
さっそくですが、塩谷サッカースクールではスクール方針が「心技体考」と普通の「心技体」に「考」がプラスされていますね。
これにはどういった意味があるのですか?

塩谷司選手(以下塩谷)
これは、僕の希望で入れてもらいました。
サッカーは「心」メンタルの部分、「技」技術、「体」体の強さや足の速さが必要ですが、それだけではなくて「考えること」がすごく大事なスポーツです。

練習時間を短く設定しているのですが、その中でしっかり頭を使う。
どういう意図を持って、どういう状況かを判断しながら練習ができるように工夫しています。

ドリブルに特化したスクール、パスサッカーのスクールなどありますが、こういったスクールは確かにすぐに効果が見えやすい。
それに比べると「考える」ということは短期的に効果が見えるものではないかもしれないけれど、サッカーだけではなくて、全てにおいて、何をするにしても「考える力が大事」だと思うんです。

ですから、日頃からスクール責任者として子ども達と接している薩摩には、指導の中で繰り返し子ども達に考えることの重要性を伝えてもらうようにしています。

薩摩将輝さん(以下薩摩)
サッカーをしている子ども達の中には「失敗すると怒られる」というイメージを持っている子がいると思うのですが、「失敗して怒られる」ってどうかと思うんです。

うちのスクールでは、なぜ失敗したのか、子供たちに考えてもらうようにしています。
僕たち指導者は子どもがその答えを出せるように、導いていく。
指導者が全て教えてしまうと、それも自分の頭で考えられていないので、成功するにはどうすればいいか、みんなで考えてもらうようにしています。

僕たち指導者も、子ども達が考えて、そしてチャレンジして失敗しているのかどうかは、見ていてわかるんですよね。
自分で考えて、楽しみながらプレーしてもらいたい。
「失敗したらどうしよう、怒られる」というイメージを無くしていきたいですね。

—薩摩さんは「AFENスペインサッカー協会認定指導者ライセンスモニトール」を取得されたそうですね。指導の中にスペインサッカーの要素を取り入れているのですか?

薩摩
いえ、これはそういう訳で取ったのではないんです笑
あくまでも個人的に勉強のためというか・・・

塩谷
徳島県ではまだまだ若い指導者が育っていないなと感じるところもあって、薩摩にはスペインサッカーの指導法だったり、KOBA式体幹トレーニングなど、お金をかけて良いからどんどん勉強してもらっているんです。

今はいろいろな指導方法があるので、昔の指導法では取り残されてしまう。
かといって、地域の少年団では、ボランティアでコーチをしてくれている方がお金をかけて新しい指導法を学んだりするのは、時間的にもコスト的にも難しいのが現状です。
ですから、その分もスクールに来てくれた選手に出来るだけ質の高いトレーニングを提供して、そこで学んだことをチームに持ち帰ってもらいたいと思います。
薩摩にはスクール立ち上げのときには仕事をやめてもらって、スクール指導に専念してもらいました。
今は、できる限り学んでもらって、練習方法や道具一つにしても、意図がある良いものはどんどん取り入れています。

スクールの練習内容は、基本の止める蹴るという基本の技術の習得と「サッカーを楽しむ」ということを中心にしています。

—スクールでは練習風景を時々動画で撮影して、子ども達が書いているサッカーノートと共に塩谷選手もチェックしているとお聞きしました。
塩谷選手からのコメントを楽しみにされているお子さんも多いようですね。
しかし、現役プロ選手である塩谷選手、お忙しい中時間を割いて動画やサッカーノートのチェックをするのは大変では?

薩摩
サッカーノートはスクール構想段階からやりたいねと言っていたことです。
選手がノートに書いて、自分で見て、練習やプレーを振り返ることはすごく大事なことです。
高学年クラスでは開設当時から実施しています。
月の終わりにノートを写真に撮って、塩谷との共有フォルダに入れて渡し、一人一人にコメントをもらって保護者さんを通じてお子さんに渡すという流れでやっています。

塩谷
僕自身、徳島出身としても子ども達へ何かしてあげたいという気持ちで、子ども達のためにスクールを作りました。
自分の名前をみてこのスクールに来てくれている子ども達に、年に1回日本に帰ってきた時だけ顔を出すだけというのは違うんじゃないかなと思って。
練習風景の動画を観て、子ども達が成長しているのを感じるのが楽しいです。
サッカーノートは、子ども達との交換日記という感覚ですね。

子ども達の書いていることを見て、こういう性格の子なのかなとか、こういうことを考えているんだなというのが分かるので、自分自身も読むのが一つの楽しみになっています。

サッカーノートの他に、薩摩から普段のトレーニングレポートで、こういうトレーニングをして子ども達の様子はこうだった、保護者の方達の声や子ども達の声なども渡してもらっています。
それに対して、僕が気づいたことをフィードバックしています。
普段からコミュニケーションを取って、しっかり意識の共有をすることがすごく大事なことじゃないかと思っています。

薩摩
塩谷とはUAEと日本で遠く離れていて、子ども達がなかなか(塩谷選手が所属する)アルアインの試合を見られません。
ですから、アルアインのダイジェスト動画を見つけたら保護者や子ども達と共有するようにしています。
それを観てくれた子や保護者さんとの間で「あのプレーすごかったね」と話題に上がったりして、保護者さんとのコミュニケーション、子ども達とのコミュニケーションになっています。

—遠く離れたUAEに塩谷さんがいても、スクールのみなさんと一体感がありますね!

塩谷
はい、子ども達が僕を慕ってくれている、というのを感じています。
今年の3月には6年生の子達をUAEに招待して、アルアインの同年代の選手と一緒に練習したり、僕の試合をスタジアムで観戦する予定でしたが、直前になりコロナで中止せざるを得なくなりました。
選手にとってすごく良い経験になるだろうと思っていたので残念でしたが、まだこれからもチャンスはあるので、コロナが落ち着いたらぜひ実現したいなと思っています。

—コロナの自粛期間中といえば、塩谷選手は子ども達と一緒にzoomでのオンライントレーニングもされていたそうですね!

塩谷
スクール生向けと、スクールに入っていない子向けとで20回以上は開催したんじゃないでしょうか。
東京や千葉など関東や広島などからも参加してくれた子がいました。
アルアインの活動が7月まで無いということになったので、その間にスクールの事をどんどんやろうと。
子ども達が外でサッカーができない時期でしたし、室内でできる事をやろう思って。

薩摩
体を動かすトレーニングや対話などをオンラインでしたのですが、その中で、塩谷が子ども達に夢を語った回があったんです。
その時、あるお子さんが塩谷の話を聞いて、嬉しくて、感動して泣いてましたと保護者さんから聞きました。
泣きながら聞いているお子さんを見て、保護者さんも泣いたと。
このスクールと出会って、子どもが変わったと言ってもらって。

子ども達には、コロナで何もできない期間最悪だったねという気持ちになって欲しくなくて。
塩谷選手とたくさんお話できてよかったね、という気持ちになってもらえたらと思っての企画だったので、すごく嬉しかったですね。

塩谷
自分自身に奢っているわけでは無いのですが、やはりプロの選手である自分が言う言葉というのは、周囲の人が言う言葉と、子どもの受け取り方も響き方も少し違うのでは無いかと思うんです。
ですから、言葉選びもすごく重要だと思って対話をしています。

実際に子ども達の顔を見て話ができるので、オンラインで繋がるのはとてもいいなと思いました。
子ども達もすごく真剣に話を聞いてくれていますし、これからもスクール生を何回かに分けて、対話をする場を作ったりしていけたらいいなと考えています。

スクール生に誕生日の時にコメント動画を撮って送ったりもしています。
子ども達が喜んでくれて、それで頑張ろう!と思ってくれるのだったら、できる限りの事をしていきたいです。

—誕生日に自分の為だけの動画が届くなんて、嬉しいですね!一生の宝物になるのでは!

塩谷サッカースクールが見据える未来のビジョンとは?

塩谷
これからは、指導者がスクールを本業にしていける、そして指導に対して学ぶ時間が取れるような環境を作っていきたいです。

徳島では選手を集めるのも大変ですが、まずは赤字覚悟でも子どもたちのために質の高い環境を提供していきたい。
そして、もっともっと徳島にスクールが増えて欲しいなと思っています。
子ども達が通えるスクールの選択肢が複数あるような。
それぞれのスクールの色があって、自分にあったスクールを選べる感じが理想だと思います。

薩摩
今は1時間10分くらいかけてうちに通ってきている選手もいますからね。

—そんなに遠くから!近くにスクールが増えると、子ども達も通いやすくなりますし、保護者の負担も減りますよね。

薩摩
まだまだ徳島では「サッカーのスクール」というのが浸透していないのかなと感じることがあるんです。
お問い合わせで「お茶当番はありますか?」と聞かれたりしますから。

塩谷
自分たちが新しいことをやっていきたい!と思っても、周囲とのギャップを感じる面もあります。
とにかく開校から2年間でスクール経営について自分たちが学べることは学んで、サッカーの指導についても良いと思っていることはどんどんやってみようと思っています。
やって見て初めて良い悪いが分かると思うんです。
ですから、失敗を恐れずチャレンジしてみたい。

そして、2年後からはスクールで出た収益を、徳島のサッカー環境改善に使っていきたいです。
まだまだ徳島ではサッカーをできる場所自体も少ないので。

具体的に言えば、自前のフットサルコートを作ることを2年から3年以内の目標にしています。
拠点となる場所を作りたいです。
そして、5年から7年の中長期的な目標としてはサッカーコート1面くらいの広さのピッチを作りたいなと思っています。

人工芝のピッチは怪我のリスクが低いと言われていますし、芝での試合や練習は子ども達もモチベーションが上がると思います。
子どもの頃、自分もそうでしたから(笑)
スクールに通う楽しみが一つ増えます。
できるトレーニングも増えますし、雨などの天候に左右されにくくなります。

—スクール運営の先には、徳島のサッカー環境を充実させていく事も見据えているのですね。
塩谷選手、薩摩さん、本日は大変お忙しい中ありがとうございました!

塩谷司サッカースクールの情報

スクール公式サイト
https://shuko33.com/

スクール設立

2019年7月

スクールプロデュース
塩谷司

スクール責任者兼コーチ
薩摩将輝

コーチ計6名

スクール人数(2020.6月現在)
キッズ 14名
小1〜小6 27名
中1〜中3 体幹スクール 7名
女子(U-18以上)2020.7月開始

最後に

遠く離れたUAEにいながらも、心は常に徳島のスクールに寄り添っている、そんな風に感じる塩谷選手のお話でした。
出身地の徳島を離れ、関東での学生時代や水戸ホーリーホック、サンフレッチェでのJリーグ、そして日本代表やUAEでの世界のサッカーを体感している塩谷選手だからこそ、徳島のサッカー環境をより良いものにしていきたいという熱い気持ちを持っておられるのかなと感じました。
これからもどんどん新しいことにチャレンジしていきたいと語る塩谷選手の活動が楽しみです!

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寄稿者プロフィール

統括副編集長/戦略事業部江原 まり
長野県出身。
ライター歴9年。
子育て系メディアにて、主に教育、引越し、子育て全般についてのコラムを100本超執筆。
2016年からジュニアサッカーNEWSにて執筆開始。
2017年10月より副編集長、2019年4月より統括副編集長/戦略事業部。

自身もサッカー少年の母です。
保護者目線で「保護者が知りたい情報」を迅速にお届けするため、日々奮闘中。

いろいろな方の貴重なお話を直接聞けるこのお仕事にわくわくさせてもらっている毎日です。

できるようになりたいこと、勉強したいことが山のようにあります。
一つずつチャレンジしていきたいと思います。
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