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サッカー「無観客」の課題と可能性 熟考の果てにあるもうひとつのビジョン

Jリーグ再開の選択肢として議論が重ねられている無観客試合。
サポーターの声援がスタジアムから消えた時、試合にはどのような影響があるのか?
開催にあたってはどんな課題があるのか?
様々な懸念材料と同時に新たなスポーツ文化を生み出す可能性を合わせ持つ、無観客試合についてまとめました。

目次
無観客になると試合はどうなる?選手はどう変わる?
Jリーグ 再開は無観客も選択肢に
開催に向けては安全が最重要
好プレーには「おひねり」!? 無観客が生み出す新たなスポーツ文化
最後に

無観客になると試合はどうなる?選手はどう変わる?

ホームとアウェイの差が埋まる?

そこがチームのホームグラウンドであり、プレーし慣れているという環境であっても、選手の心情を後押しし、ときに相手チームを委縮させるかもしれない「声援」が一切聞こえない…。

そうなると、まず初めに心理的なホームアドバンテージが薄れることが考えられるのだそうです。
比較的多くのファンが会場に来ることで作られる「ホームの空気」。これが無くなることで、両チームの差はグラウンド整備などの物理的条件に絞られるからです。

選手のプレーはどう変わる?

条件の差が埋まり、選手が心理状態に振り回されないプレーが出来るようになれば、プレーの質そのものも向上するのでしょうか?

スポーツ心理学の専門家によると、無観客では選手のモチベーションが低下することが懸念されているそうです。
アウェイでのプレッシャーからミスすることは減ったとしても、反骨精神が刺激されて大胆なプレーが出るということや、ホームのファンへのサービス精神、チャレンジ精神からの魅せるプレーは起こりにくくなるのでは?と考えられているようです。

試合はより戦術的に 「モチベーター=監督」が重要に

無観客では試合がより戦術的になるという可能性もあげられます。

試合中ベンチからの声が届きやすく、本来プロレベルではハーフタイムの間でしか出来なかった大きな戦術変更が可能になるかもしれません。
セットプレー時のマーク漏れなど、ベンチからの方が良く見える密集時の指示も届きやすくなるということも。もっとも指示は相手チームにも筒抜け。暗号のような言葉が飛び交うようになるのかもしれません。

声援が選手のモチベーションを上げられない状況では、「監督=モチベーター」という概念がより重要になってくるのだそうです。

「ドラマ」が起こりにくくなる?

戦術の伝達が容易になり、心理的プレッシャーからも解放されてしまうとなると、試合が「整理整頓」された状態になってしまい、大逆転などの「ドラマ」が起こりにくくなるということもあるようです。

ラ リーガファンの間で語り継がれる名シーンや感動の試合は、サポーターの大声援のもと「いわゆるカオスでクレージーな状況」で「我を忘れた選手」が起こしてきたとも言われています。

Jリーグにおいても、無観客であれば選手の心理的混乱による劇的な展開が望めなくなることも考えられるでしょう。

参考文献
【木村浩嗣コラム】「無観客試合」という避けられない現実が、サッカーに与える影響は?

様々な課題をクリアし、無観客試合が実現したら…
声援の無いスタジアムで試合はどう動き、選手にはどんな変化が起こるのでしょうか?
スペイン、ラ リーガの無観客試合を例にいくつかの見解が書かれたコラムを参照し、無観客試合で起こりうる問題に迫りました。

Jリーグ再開は無観客も選択肢に

4月23日、Jリーグは、プロ野球と連携した「新型コロナウイルス対策連絡会議」での感染症の専門家からの見解を受け、各クラブ代表が集まる臨時委員会を開催。
緊急事態宣言の解除(緩和)後は、無観客試合での再開も選択肢であることを各クラブと確認しました。

同委員会では、選手の移動や食事の段取りなどのシミュレーションも進めていくこと、また現時点では5月6日までとされる緊急事態宣言が延長される可能性も視野に、再開時期は、最短で6月、状況により7月も推定して準備していく方針も共有されました。

村井満チェアマンは「選手の移動の問題」、「地域間での感染度合いの差」など、試合開催にまつわるリスクについて言及しつつも、試合観戦者の安全を守る立場として、現時点では無観客での再開も考慮すべきと認識を新たに、細かなシミュレーションを重ねて行く見解を述べました。

参考文献
NHK Jリーグ公式戦 無観客試合も選択肢 再開に向け確認
J LEAGUE.JPニュース「無観客試合もこの段階に来れば想定しなければいけない。第6回新型コロナウイルス対策連絡会議会見レポート」

開催に向けては「安全」が最重要

Jリーグ再開の選択肢のひとつとして検討され、いよいよ現実味を帯びてきた無観客試合。
しかし実現することは決して簡単ではなく、安全面について慎重に検討を重ねる必要があるようです。

Jリーグ再開に向け、選手のケア慎重に

「新型コロナウイルス対策連絡会議」で感染症の専門家は、家族を含めた選手や関係者の健康管理の精度を高め、試合を開催するための感染予防マニュアルの周知徹底、教育・啓蒙活動の導入についても言及しました。

村井チェアマンは、不安定な心理に陥る選手が健康上の不安をチームドクターや関係者になかなか言い出しにくいという状況も懸念。安心して相談できる窓口を設けるなどの今後の方向性も示しました。

台湾プロ野球リーグも厳戒態勢

「新型コロナウイルス対策連絡会議」でも、参考事例にしていきたいと言われている台湾プロ野球リーグ。
既に開幕し、順調に試合が消化されています。

球団関係者には外出、公共機関利用の自粛を要請。ファンにも球場へ近寄らないように呼びかけ、4球団による240試合全ての開催を目指しています。

来場できないファンに変わり、首位を独走する「楽天モンキーズ」がマネキンやヒト型ロボットを応援団に配したことでも話題をさらいました。

一人でも感染が確認されれば試合は即中止。
コロナウィルス感染拡大の封じ込めに成功したと言われる台湾においても、厳戒態勢の中で慎重にリーグが行われているようです。

参考文献
J LEAGUE.JPニュース「無観客試合もこの段階に来れば想定しなければいけない。第6回新型コロナウイルス対策連絡会議会見レポート」
JIJI.COM 無観客試合、順調に消化 台湾プロ野球、開幕から2週間

好プレーには「おひねり」!? 無観客が生み出す新たなスポーツ文化

Jリーグを「存続の危機」にさらさせない

選手の好プレーに対する「投げ銭」の仕組みを作る。
サイト上のボタンをクリックして良いプレーに対する賞賛を「おひねり」として投げ銭出来るというもので、浸透すれば、新しいスポーツ文化、収入の柱となる可能性もあるといいます。

この案は、4月24日、鹿島アントラーズの小泉文明社長(39)が定時株主総会後のウェブ会見で発表されたものです。無観客試合を想定した対策として鹿島アントラーズの親会社メルカリが得意とするIT技術によるデジタル施策を導入していく方針です。

無観客試合がサッカーに与える影響は決して少なくないでしょう。
とはいえ、このまま延期が続けば営業収入は落ち込み、やがて存続の危機を迎えるチームが出て来ることもあり得ます。

リーグを再開できた場合も入場料収入や物販収入が見込めず、10億、20億単位で営業収入が落ち込む可能性が懸念されます。「感動するポイントとお金を払うポイントが上手にマッチする形での設計をしたい。」と、収入がゼロにならない仕組みを準備するとともに、スタジアムに来られなくても同じような感動が得られる仕組みを作りたいと小泉社長は語ります。

マイナス要素も否めない無観客試合。しかし、そこには新たなスポーツ文化を生み出す可能性が秘められているのかもしれません。

参考文献
東京中央スポーツ J1鹿島 無観客試合 ITで盛り上げ 好プレーに“おひねり”を

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最後に

ときに選手のモチベーションを向上させ、試合の流れを大きく変えてきたサポーターの存在はリーグにとって必要不可欠であり、その事実は今後も変わることはありません。
しかし、サポーターのためにもチームを存続させることは大前提であり、安全を守るうえでも無観客試合は選択肢から外せないことも確かです。
無観客試合については沢山の課題がありますが、同時にAIやITを駆使した新たなファンサービスの仕組みを構築するアイディアも生まれています。
再開に向け、様々な観点で熟考を重ねるJリーグ。その果てにあるもうひとつのビジョンが実現したとき、新たなスポーツの在り方が私たちを魅了するのかもしれません。
Jリーグの動向に注目しながら、その前進を応援して行きたいですね。

寄稿者プロフィール

JUNIOR SOCCER NEWSWriterCrane
滋賀県在住ライターのCraneと申します。
2019年8月にライター歴2年目に突入、サッカー娘の母歴は9年目に入りました。
サッカーを通して良いご縁がたくさん。出会った方々に感謝の日々です。

おうちルーティーンでは「換気」が強化され、1日何回か「=上着必須時間」が訪れていましたが、日に日に暖かくなって爽やかタイムになってきました。

毎日の料理は頑張り過ぎない。
家族で協力して物を減らし、片づけやすい仕組みも構築。
家族一人ひとりがオンラインで行うことが増えたのでWi-Fi中継器を買ってネット環境を強化。

などなど、なんとか工夫して過ごしています。
文章も沢山書いています(^^)

1日も早くコロナが終息し、グラウンドで沢山の選手が輝く日が戻ってくることを願って止みません。

その日までも、その日からも。
思考を止めずにがんばって、前進したいし、しなくては!
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