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FCバルセロナの試合後の振る舞いに見る「日本のジュニア選手育成に求めること」

2016年度のU-12ジュニアサッカーワールドチャレンジは、FCバルセロナ優勝、大宮アルディージャ準優勝という結果で幕を閉じました。

試合後のFCバルセロナU-12の選手たちが見せた振る舞いに、世界中から賞賛が集まっています。日本のトレセンの目指すところとも関係してくる選手たちの振る舞いが生まれた理由を考察しました。

U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ大会記事はこちら(ジュニアサッカーNEWS)

「グッドルーザー 大宮をたたえたい」

試合は0-0の膠着状態が続き、FCバルセロナの決勝点が入ったのは44分、もうすぐ試合が終わるというときでした。ホイッスルが3度鳴り響いたあと、歓喜を爆発させる選手たち。

歓びを分かち合った後、選手たちが向かったのは大宮アルディージャの選手のもとでした。悔し涙に暮れる選手たちのもとに行き、ハグ、握手、そして声掛け…大宮アルディージャの選手も、悔し涙に暮れる中で必死に彼らに答えました。言葉は分からなくても、気持ちが確かに通じ合う瞬間がそこにありました。

【試合後】優勝したFCバルセロナの選手達が大宮アルディージャの選手達のもとに。「U-12 ジュニアサッカーワールドチャレンジ 2016」

参照サイト:Youtube

そのあと、選手たちは2位表彰の直前、セルジ監督のもとに集まり、相談を始めたそうです。そして、バルサの選手たちは大宮アルディージャの選手のために、表彰台まで花道を作りました。「グッドルーザー大宮をたたえたい」という気持ちが彼らを動かしたのです。グッドルーザーとは、「負けても潔い人」という意味です。

“対戦相手を思いやれる”バルサの12歳は、どのように育てられるのか(参照サイト:サカイク)

育成期に考慮される「頭の成長」

FCバルセロナの下部組織は、年齢によってカテゴリーが分けられているわけではありません。体の成長度によってでもありません。カテゴリーは、その選手の「頭の成長度」によって分けられます。

体の成長ではなく”頭の成長”に応じた指導計画が大切(参照サイト:サカイク)

頭の成長度とは、「サッカーの理解度」のことです。U-12 ジュニアサッカーワールドチャレンジ 2016の動画を見ると、さまざまな体の大きさの選手が攻撃・守備のイメージを共有しているのが分かります。

【ハイライト】FCバルセロナ×大宮アルディージャ ジュニア「U-12 ジュニアサッカーワールドチャレンジ 2016 決勝」

参照サイト:Youtube

同じ理解レベルを持つ子どもたちとサッカーをすることは、実は日本の育成年代では難しいことです。日本はほとんどのチームが学年によってカテゴリーを分けます。そして、学年が上のチームに入ることはあっても、学年が下のチームに入ることはまずありません。

そのため、練習・試合の現場で、「理解度が同等」というには無理がある状態が生じることがあります。

同じ頭の成長度の子どもたちを集め、さらにサッカーの技術だけでなく人間教育も進めていくFCバルセロナ。その育成の秘密は、「LA MASIA」(ラ・マシア)と呼ばれるFCバルセロナの育成寮にありました。

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FCバルセロナの育成寮「LA MASIA」の人間教育

ラ・マシアとは、スペイン語で「宝物庫」の意味です。FCバルセロナのカンテラに所属する子どもたちはスペインの宝。そんな意味を持って名づけられたといいます。

全寮制の寄宿舎で、カンプノウ・スタジアムの敷地内にラ・マシアは建てられています。12歳から18歳までの子どもたちが学校に通いながらサッカーに明け暮れます。ラ・マシアの24時間を特集した動画を見つけました。

24 horas en la Masia del FC Barcelona

参照サイト:Youtube

「ラ・マシアは勉学も含めた人間形成の場であり、一流のスポーツ選手であると同時に、一人前の大人にならなければならない」というバルセロナの育成哲学のもと、24時間の集団生活の中で少年たちは勉学に励みます。

彼らは学校へ行くにも専用バスで登校し、下校にも専用バスを使います。学校でも、通学途中でも、誰もが彼らを「バルサの選手」という目で見ます。その中で彼らが育むのは、「バルサの一員」という誇りと、「バルサの選手としてふさわしくない振る舞いはしない」という自律の心です。

ラ・マシアでは、一流の選手、一人前の大人を求められるため、落第、規則違反などがあれば即退寮を命じられます。

世界的に見ても驚異的なトップチームへの昇格を誇るバルサのカンテラでさえ、所属する全員がトップチームの選手になれるわけではありません。わずか一握りに入れなかったとしても、社会性のある素晴らしい人間を育て、社会で活躍していけるようにという道を示すことをラ・マシアは体現しているのです。

参考記事:カンテラ(BlauGrana)
バルサの誇り“ラ・マシア”寄宿舎(参照サイト:Sponichi Annex)

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日本のトレセンに求められ始めた「人間性の向上」

そしてこのことは、日本のジュニア選手のトレセンに求められ始めたことでもあります。東京都少年サッカー連盟技術委員会の出している「少年サッカーの狙いと活動方針」によると、

<1.指導・育成方針>

④積極的にコミュニケーションできる選手
・積極的に自分の考えを伝え、他社の思いを受け止めることができる選手を育てる。
⑤リスペクトの心をもてる選手
・勝利のために全力でプレーすることは大切であるが、「勝つためには手段を選ばない」という考え方を断固排除することがフェアプレーの原点である。さらに相手・審判員・味方・競技役員・観客・競技場・施設・用具等に対しても、リスペクトの心を持つことを徹底していく。

<3.トレーニングセンター>

2.少年期の発達段階を考慮した基本的な技術、戦術、人間性の向上を図る。特に、人間性はゲームマナーやルールを守ることはもちろん、あいさつ、服装、言葉遣い、礼儀等の指導を行い、より良い社会人への育成をはかる。

※太字弊社
参照・引用:少年サッカーのねらいと活動方針(東京都少年サッカー連盟 技術委員会)

のように記述されています。サッカーがうまければいい選手と認めるわけではなく、リスペクトの心を持ち、よりよい社会人を育成するための人間教育も行っていくことを想定しています。

FCバルセロナU-12の選手のすばらしさから学ぶことは非常に多いように感じられます。

もう一度試合後の動画を見る(参照サイト:youtube)

最後に

各地トレセンに選ばれていく選手たちには、サッカー技術の向上だけでなく、人間性の向上も求められていくことでしょう。「サッカーで人間育成」ができた時、初めて日本はFCバルセロナなどの世界トップチームと肩を並べることができるようになるのではないでしょうか。

グッドルーザーについても、興味深い記述を見つけました。川渕三郎氏のものです。「トップレベルの選手こそ、グッド・ルーザーであれ」(参照サイト:日本サッカー協会)2008年の記事ですが、示唆に富んでいます。興味のある方はぜひ読んでみてください。

寄稿者プロフィール

JUNIOR SOCCER NEWS統括編集長/事業戦略部水下 真紀
Maki Mizushita
1974年生まれ。群馬県出身、東京都在住。フリーライターとして地方紙、店舗カタログ、webサイト作成、イベント取材などに携わる。2015年3月からジュニアサッカーNEWSライター、2017年4月から編集長、2019年4月から統括編集長/事業戦略部。ジュニアサッカー応援歴14年。

第98回高校サッカー選手権予選を最後に息子が引退。
高3の11月から受験生になりました。
高校2年生の保護者の方がもしここを見ていたら、
「たったの2か月でセンター爆上げは無理だから今からがんばれ」と
お子さまに教えてあげていただきたいです…

まだ小学生、中学生のお子さんをお持ちの皆様がうらやましいです。
今しかない瞬間、親も楽しんじゃってください!

サッカーにかかわるすべての人を応援しています。

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