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勝てなかったチームが全国大会へ?夏の大会が成長のきっかけに 全日本U-12選手権 福岡県代表 福岡BUDDY.FC(バディ) 村上将平コーチインタビュー

福岡BUDDY.FCは福岡県筑前地区に活動拠点を置くサッカークラブです。

2021年11月、同クラブは全日本U-12選手権大会福岡県中央大会で優勝し、5年ぶり4回目の全国大会への出場権を獲得しました。

今年のチームはいかにして全国大会への切符を掴み取ったのでしょうか。
U-12チームを指揮する村上 将平コーチにお話を伺いました。

電話取材/文 CRANE
写真提供 福岡BUDDY.FC

お話を聞いた人

福岡BUDDY.FC 村上 将平コーチ

U-12 BUDDY・FC
U-15 筑陽学園
U-18 東福岡高等学校
20歳からBUDDYに戻り指導者となり、現在12年目。

全日本U-12選手権大会出場決定!
成長と共に掴んだ全国大会

ーーー全日本U-12選手権大会への出場、おめでとうございます!県大会までを振り返って今年のチームにどのような思いがありますか?

福岡BUDDY.FC 村上 将平コーチ(以下、村上)

ありがとうございます。
選手達は本当によく頑張ってくれたと思います。
バディは「いい選手である前に、いい人間であれ」という総監督からの指導方針のもと、指導をしております。
正直なところ、今年は例年に比べて決して強いチームとは言えませんでしたが、「いい人間」という部分では、地道な努力を継続できて素直で謙虚な選手が多く、あとは、どういい選手に育てていこうか?という部分を総監督と試行錯誤して、スタッフ、選手、保護者全員で掴んだ優勝だと思っています。
地道な努力を継続して全員で掴んだ優勝だと思っています。

ーーー5年ぶりの全国大会と伺っていましたが、例年に比べて「強くなかった」というのは意外でした。

村上
今年のチームは県内はおろか、筑前地区の中でも「強い」と言われることは残念ながらあまりありませんでした。
「今年の全日は○○が行くやろう」
前評判で聞こえてくるのは別の強豪チームの名前ばかりでしたね(笑)

スタート当初はとにかく負けっぱなしで…
練習試合でさえ、なかなか勝てることができなかったんです。

選手達は上品なタイプというか…挨拶もきちんとできるし荷物の整理もきっちりやる、所謂「おりこうさん」ばかり。
根が真面目で練習もコツコツとこなす、指導も素直に聞いてくれる子達です。

彼らは周囲への気配りも上手なのですが、それが上手過ぎるというか、気を使い過ぎて感情が表に出にくいんです。

中でもとりわけ気になったことは、負けが続いても悔しがならいところでした。

ーーー悔しさが表に出ないことは、チームにどんな形で影響するのでしょうか?

村上
悔しいという感情が伴わないと「勝ちたい」という情熱が薄れてしまい、負けた時の言い訳を探すだけで終わってしまうのではないかと感じました。

「敗者は言い訳を探し、勝者は方法を探す。言い訳をしないチーム作り。」
私はチームのモットーである、この言葉を常に念頭に置き指導をしています。
選手たちは、
「あの時、予期せぬアクシデントが起きた」
「あのチームは足も速くて身体も強い、自分たちより格上だ」
そういう「言い訳」を探して勝手に納得してしまう。
もっと言えば、それが無かったら勝てると思ってしまうんです。

勝負というのは「あれが無ければ勝てた」というものでは決してないんですよね。
まずは、負けたという事実をしっかり受け止めて、悔しいという感情を持たなければ成長することは難しいと思います。

なんとか、彼らの感情を引き出すことが出来ないか…指導する上で私は「悔しさ」を前面に出して伝えるようにしたんです。
とことん真剣に向き合って、プレーに対しても「なぜチャレンジをしないのか・・・失敗を恐れずにチャレンジをしないことがコーチは悔しかったよ」と、気持ちの部分を伝えるようにしました。
時には試合中に叫んだりもして(笑)

もちろん、怒鳴ったり怒ったりとか、そういうことではありません。
出来なかった時の悔しさ、上手く行った時の嬉しさなどをとにかく全面に出して「感情を表に出す」ということを体現して、全身で選手達に伝えるようにしました。

しかし、悔しさの表現の中で、「去年の〇〇だったら迷わず飛び込んでるぞ!」という言葉を使い、引き上げようとしていたときに、総監督からかけられた、
「自分を見つめてみたらどうだ?今までではなく、今をどうするかの方法をさがしてるか?」
の言葉で、私はいつの間にか自分も無意識に言い訳をしていたのか?と振り返ることが出来ました。

このように、「頭でわかっていても実行できていたのか?」の振り返りをすることや改めて方法を探そうと立ち返ったことで、私自身が選手目線でもっとよく選手を観察し、選手と一体にならなくてはと感じました。

変化の始まりは夏のどん底の経験

そんな彼らに変化が訪れたのは、この夏に静岡で行われたカップ戦でした。
「TOBIGERI ONE」という、全国に名を馳せる強豪ばかりが32チーム集まるカップ戦です。

そこでなんと、32チーム中31位という結果を残してしまって。
このカップ戦でもとにかく負けに負け続けたんです。
流石にこれはどうしたものかと頭を抱えそうになりました。

ところが最後の最後の試合、彼らは今まで見たことも無いような闘志を見せてくれたんです。

「今のままでは本当にまずい」
選手達自らがそんな風に思ったのか、全員が声を出して、がむしゃらに熱く戦う姿を見せてくれました。

選手達が変わったのはここからです。
その後の試合では、身体を投げだしてでも止めに行くシーンや、負けたら思い切り悔しがる、ゴールを決めたら大喜びするという感情が見え始めました。

毎試合が決勝戦

ーーーチームが変わり始めたと感じてからはどのように指導したのでしょうか?

村上
「TOBIGERI ONE」以来、彼らは間違いなく好転している。
このチームが大きく成長するチャンスが来ているのを感じ、成長を止めないためにはどうしたら良いかをより一層考えるようになりました。

総監督を始め、沢山の指導者の方々にアドバイスを頂きながら、選手一人ひとりの状態をよく見て、チームのことを深く理解し、理想をこちらから提示するのではなく、1歩1歩選手と共に成長するためには、今この時に必要な環境はなんだろうということを第一に考えました。

前評判や実力、能力なんて関係なく「優勝したチームが強い!」という経験ができるのは大会だと感じ「大会を開催したい!」と、地区大会までにカップ戦を2回主催しました。

この大会では選手が勝負にこだわり、1日目では優勝することが出来ました。
そして、2日目は準優勝という経験をしました。

「油断すると勝てなくなる。そこをどう克服しようか?」
必要な経験を良いタイミングでしてもらうことで、子供たちの間に建設的な会話が増えていきました。

チーム作りをする上でも今年の選手達に合う方法を模索しました。

例えば、ふざけてしまう部員が出た場合、今までならその部員に直接注意していたのですが、今年のチームは全員に対して話した方が効果がある。

ふざけてしまった当人を含むチーム全員の目の前でキャプテンに話しをするようにしました。
「なぜ注意しなかったの?きついことを言えないことは本当の優しさなのか?」
自分のせいで仲間が叱られる姿を見て、当人はすごく反省したようです。

このように全体に話をすることで選手達には「仲間になる」ということの本質を考えてもらいました。
キャプテンもふざけてしまった選手も、それぞれの立場でチームを思うということを学んでくれたと思います。

ーーー福岡県中央大会を振り返ると、どんなことを感じますか?

村上
福岡県中央大会には1回戦からの全試合が決勝戦のような気持ちで臨みました。

少しずつ成長してくれている選手達ですが「強くなった」かと言われると、そこはまだまだで…。
筑前予選でも優勝することはできず、準優勝で中央大会への出場権を得たんです。
とても余裕を感じてなどいられませんでした。

とにかく、立ち上がりが重要。先制してその勢いのまま最後まで行けば何とかなる。
そんな綱渡りの状態で勝ち上がってきましたが、準々決勝では立ち上がりが良くなくてなかなか点が決められず…先制点を許してしまったんです。

うちのチームには、一度崩されるとそこから全てが崩れ出すという傾向があったので「最早ここまでか?」という考えが一瞬よぎりましたが、選手達はここ一番の粘りを見せてくれたんです。
私がアドバイスをするより前に自分たちで気合を入れ直し、前半のうちにそこから3点を返してハーフタイムを迎えました。

その試合は後半でも2点を奪い、最終5-1での勝利。
負のスパイラルになかなか打ち勝てなかった彼らが自分たちだけでチームの雰囲気を立て直し、粘り強く戦う姿を見た時は大きな成長と感動を感じましたね。

表彰式の時に、「どの選手も一体となり、全員が身体を張ってゴールを守り戦っていました。」というお言葉を頂きました。
これはどのカテゴリーでも必要な事であり、誰でもできそうですが、実は一番難しいことだと思い、我々は指導していました。

「評価は他人がするもの」だと思います。
自分の世界で頑張っている、出来ている、という自己満足ではなく、他人からそう思っていただけるようなチームに変化して、実際に評価を受けたことはとても嬉しいことでした。

今回、福岡県内では私たちが優勝するとは誰も予想していなかったのではないでしょうか。
本当に沢山の方から「感動した」「全国でも頑張れ。応援している」というご連絡を頂きました。

総監督の鶴丸(福岡BUDDY.FC総監督 鶴丸聡一郎氏)は優勝の秘訣を聞かれた時「今年のチームが勝てたのは、彼らの良い所も悪い所も全てひっくるめてよく分かっていたことが大きい。一人ひとりの個性を受け止めて分析し、的確なアドバイスができたことは強みだった」と言ってくれたようです。
コーチとして、とても嬉しく思いました。

総監督を始め、相談に乗って下さった指導者の方々、対戦チームの皆さん、チームを信じて預けていただいた保護者の皆様、そして何より頑張ってくれた選手達に感謝しかありません。

この大会を通して、私自身も選手と一緒に成長させてもらいました。

30周年の節目で挑む全国

ーーー最後に、全国大会にかける意気込みを教えてください。

村上
福岡BUDDY.FCは2021年度に30周年を迎えました。
私たちにとって節目となる年に、チームが一丸となって掴み取った全国大会となります。

目標は、全日本U-12選手権での私たちの最高戦績、ベスト16を超えることです。

かなりの強豪が勝ち上がってきている全国大会。
どこまでやれるかは未知数ですが、ピッチに立てる以上、可能性は0ではありません。
チームスローガン「限りなく前進」をテーマに謙虚さを忘れず、可能性を信じて戦い抜きたいと思っています。
応援よろしくお願いします!

福岡BUDDY.FCのホームページはこちら!

https://buddy-fc.com/

最後に

選手達一人ひとりに真剣に向き合う村上コーチのお話からはチームの成長と勝利にかける深い思いが伝わってきました。

高いスキルがあっても勝てるとは限らない勝負の世界。
壁を打ち破るためには「感情」が大きなファクターになるのかもしれません。

貴重なお話をありがとうございました。
福岡BUDDY.FCの全日本U-12選手権大会でのご活躍をお祈りしています!

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寄稿者プロフィール

JUNIOR SOCCER NEWSテクニカルマイスターWriterCrane
滋賀県在住ライターのCraneと申します。
2021年8月にライター歴4年目に突入、サッカー娘の母歴は丸11年になりました。

どんな試合でも、その一戦を迎えるまでにどれほどの努力があったのか。そしてそこに、どれほどの方の支えがあったのか。

頑張っている選手達、それを支える保護者、指導者の皆様が持つ数多のドラマに想像を張り巡らせてはリスペクトが泉のように湧き上がる日々。
涙腺も年々緩くなり、留まることを知りません。

このところ、8チームから12チームくらいの規模の大会も戻ってきているのではないでしょうか。
大会結果画像、弾けるような笑顔のお写真、選手達のご活躍の様子をぜひお寄せ下さい。いつでもお待ちしています!
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